唯「ニートに贈る!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:19:06.29 ID:b43wG1tFO
桜高を卒業して10年。
軽音部のみんなはそれぞれ別の道を歩んでいた。
澪ちゃんは音楽関係の仕事に。
律っちゃんは結婚をし、2児の母に。
ムギちゃんは幼稚園の先生に。
あずにゃんはたくさん勉強して有名なお医者さんに。
一方、わたしはというと……
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:20:41.23 ID:b43wG1tFO
憂「お姉ちゃん!起きて!!」
憂「今日はお仕事探しに行くんでしょ?」ユサユサ
唯「うーん………」
憂「わたし仕事だからもう行くね?ちゃんとハローワークってとこに行くんだよ?」
唯「わかってるよぉ……」
憂「ご飯用意してあるからちゃんと食べていってね?」
バタンッ――
唯「………」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:21:42.77 ID:b43wG1tFO
唯「モグモグ……」
トーストを口に運びながらテレビをつける。
高校を卒業してから、わたしは無気力のダメニートでした。
憂にはハローワークに行くって言い、
その辺のコンビニや公園で時間を潰し夕方になったら家に帰る。
夕方になると憂が帰ってくるので
夕飯を食べてお風呂に入ってあとは、部屋で2ちゃんねる……
夜の2時を過ぎると布団に入ります。
夜は嫌いです。昔を思い出しちゃうから
唯(うぅ……どうして……)ポロポロ
唯(昔に戻りたいよぉ……)グスッ
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:23:31.56 ID:b43wG1tFO
憂はわたしがハローワークに行っていない事を知っています。
こんな生活を10年も続けていれば誰でも気づくよね……
でも、憂は口には出しません。
唯「ヒッグ……ヒッグ……」
ガチャ――
唯「!!」
憂「お姉ちゃん……」
唯「う、憂……どうしたの?」
憂「ごめんね……起こしちゃった?」
唯「大丈夫だよ…」
憂「ちょっと話があるの……外に行かない?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:25:11.93 ID:b43wG1tFO
憂「やっぱ夜になると涼しいね」
唯「う、うん」
わたし達は桜高への通学路を2人で歩いていた。
10年経っても昔と景色は変わらない。
唯「憂……話ってなに?」
憂「お姉ちゃん……毎晩泣いてるよね……」
唯「!!」
憂「お姉ちゃん無理しなくていいんだよ?」
憂「お姉ちゃんのペースでゆっくりでいいよ」
唯「………」
憂「誰もお姉ちゃんを責めないから」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:26:52.21 ID:b43wG1tFO
唯「うぅ……」ポロポロ
憂「お姉ちゃんは昔から泣き虫だね…」
唯「憂……みんなに会いたいよぉ……」
唯「あのころに戻りたいよぉ…」ポロポロ
憂「大丈夫だよ…すぐに会えるよ?だからがんばろ?」
唯「う、うん……」
憂「そろそろ帰ろっか?」
唯「憂……」
憂「ん?」
唯「手……繋いでもいい?」
憂「うん!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:30:03.01 ID:b43wG1tFO
憂「手を繋ぐなんて久しぶりだね」
唯「うん」
唯「憂?」
憂「なぁに?」
唯「今日はありがとね」
憂「わたしは何もしてないよ」
憂は自慢の妹だ
わたしなんかよりもしっかり者で頼りになるし、何より優しかった。
憂のお姉ちゃんになれてわたしは幸せだよ
だけど、その直後だった――――
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:32:44.99 ID:b43wG1tFO
唯「イテテ……」
唯「う、うい!!」
憂「………」
わたしたちは自動車に衝突されて十メートルほど跳ね飛ばされてしまった。
唯「憂!起きてよ!!」
唯「ヤダよ!死なないでよ!!憂が死んだらわたしどうしたらいいの!?」
憂「………」
唯「うぅ……神様……」
唯「わたしなんかより、憂を……憂を……」
憂は頭を強く打ったのか目を覚まさない。
心臓の鼓動が弱くなっているのがわかる。
唯(うぅ…頭が痛い……)
唯(気持ち悪くなってきた……わたしも頭打ったんだ……)
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:36:18.08 ID:b43wG1tFO
唯(意識が……遠くなってく……)
唯(憂……わたし最後までダメだったね……)
憂「………」
唯(あ……頭が………)
?「起きて!早くしないと遅刻だよ!」ユサユサ
唯(え?………)
バッ―――
唯「う、憂?」
憂「お姉ちゃん、ご飯出来てるよ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:38:42.73 ID:b43wG1tFO
唯「う、うぃいいいいいいいいいい!!!!」ガシッ
憂「!」
唯「よかったぁ!!無事だったんだね!!」
憂「ど、どうしたの?お姉ちゃん」
唯「よかった……ホントによかったよ……」ポロポロ
憂「早くご飯食べよ?学校に遅れるよ」
唯「う、うん!」
唯「………」
唯「え?学校?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:42:25.81 ID:b43wG1tFO
憂「モグモグ…」
唯「………」
憂「ん?お姉ちゃん食べないの?」
憂「ホントに学校遅れちゃうよ?」
唯「……学校って……桜が丘高校?」
憂「ほかにどこがあるの?お姉ちゃんしっかりしてね」
唯(本当に昔に戻って来たんだ……)
憂「………」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:44:32.34 ID:b43wG1tFO
通学路
唯(確か昨日の夜に憂と2人でこの道を歩いてて……)
唯(そう、この場所でわたし達跳ねられたんだよね……)
唯(わたし達を跳ねた後、運転手がびっくりして逃げちゃって……)
憂「どうしたの?」
唯「!」ビクッ
唯「な、なんでもないよ」
?「おーい、ゆいー!!」
唯「え?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:47:52.99 ID:b43wG1tFO
律「おはよー」
澪「お、憂ちゃんも一緒か」
唯「……」プルプル
律澪「?」
唯「うわぁあぁあああああああああああああああんりっちゃあああぁあああんみおぢゃああぁあああん」
唯「あいだがっだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
澪「な、なんだ!?」
律「ちょ、唯 鼻水すげーよ…」
唯「ヒッグ……ヒッグ……」
憂「………」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:49:54.62 ID:b43wG1tFO
教室
唯「ムギぢゃぁああぁああああああああああん!!」ギュゥゥゥゥ
紬「あらあらどうしたの?」
律「朝からずっとこの調子なんだ」
唯「うぅ……グスンッ」
紬「子供みたいでかわいいわ♪」(唯ちゃん、やわらかい///)
律「ほら、自分の席に着くぞ」グイ
唯「あぁ……ムギちゃん……」
紬(あぁ……唯ちゃん……)
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:51:29.91 ID:b43wG1tFO
部室
紬「今日はショートケーキよ♪」
唯「うぅ……おいひぃ………おいひぃよ……ヒッグ……」ポロポロ
紬「唯ちゃんは特別にもう1個つけてあげるわ♪」
唯「グスッ………ありがと……」
澪「まだ治ってないのか?」
律「ああ…」
ガチャッ―――
梓「すみません!遅くなりました!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:54:44.01 ID:b43wG1tFO
唯「あずにゃああああああああああああああああん!!」
梓「ヒィッ!」
ギュゥゥゥゥ
唯「さびしがっだよおおおおおおおおおおおお!!!!」
梓「ちょ、唯先輩!鼻水とケーキが付くじゃないですか!!」
唯「びぇええええええええん!!!」
梓「あ!ど、どこ触ってるんですか!!」
唯「この小さいおっぱいはやっぱりあずにゃんだぁああああああああああああ!!!!」
梓「いい加減にして下さい!!!!」パチンッ
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:58:03.55 ID:b43wG1tFO
唯「イテテ…」ヒリヒリ
澪「ちょっと落ち着いたか?」
唯「う、うん…」
梓「全く、いきなり信じられません!!」
唯「ごめんね……久しぶりだったから……」
律「昨日も会っただろ…」
紬「あ、梓ちゃん」
梓「はい?」
紬「梓ちゃんのケーキ……唯ちゃんにあげちゃった……」
紬「今日の唯ちゃん、可愛いかったからつい……ごめんね……」
梓「………」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:02:31.71 ID:b43wG1tFO
澪「じゃあそろそろ練習はじめるぞ!」
唯「うん!」
律「まずはふわふわ時間からやってみるか」
唯(10年以上ギー太弾いてなかったけど大丈夫だよね……)
律「じゃー行くぞー」
ジャカジャカジャーン♪
澪律紬梓「………」
唯「………」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:06:30.44 ID:b43wG1tFO
梓「唯先輩!今、結構間違えてましたよ!!ちゃんと練習してるんですか?」
唯「………」
梓「え?」
唯「うぅ……ヒッグ……」ポロポロ
律「あー!!梓が唯を泣かしたぞーww」
梓「え……そ、そんなぁ……うぅ…」グスッ
律「あ…別に梓まで泣くこと……」
澪「律!梓をイジメるな!!」
律「ヒィ!!」
唯「グスッ……」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:09:05.56 ID:b43wG1tFO
わたしは今の演奏で高校2年の時の学園祭のライブを思い出した。
ライブはわたしが風邪をひいてしまい大失敗に終わりました。
でも本当は風邪を言い訳にした練習不足で、その事は自分が一番分かっていました。
澪「全く、もうちょっと部長としての…………」ブツブツ
唯「みんな……」
澪「ん?」
唯「学祭、絶対成功させようね!」
律「どうしたんだ?急に」
唯「えへへ……」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:15:12.69 ID:b43wG1tFO
唯「ういーただいまー」
憂「おかえりーお姉ちゃん」
唯「おなかすいたー」
憂「待ってて もう出来るから!」
唯「………」
唯(うーん、お腹もすくし、
あずにゃんにビンタされた時も痛かったし、やっぱり夢じゃないのかな……)
憂「お待たせー」
唯「わーい♪」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:18:00.93 ID:b43wG1tFO
唯「モグモグ……」
憂「………」
憂「あのね、お姉ちゃん。ちょっと話があるの……」
唯「ん?なあに?」
憂「今日のお姉ちゃん見て、もしかしてって思ったの……」
唯「うん」
憂「変なこと聞くね……」
唯「………」
憂「お姉ちゃん、今いくつなの?」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:21:27.37 ID:b43wG1tFO
唯「え?いくつって今は28だけど、憂も知っ………」
憂「やっぱり…」
唯「あ……」
憂「わたしはね、今27なの……」
唯「え、ってことは?」
憂「もうわかるよね?」
唯「………」
憂「わたしたち……もう戻れないのかな……」グスン
唯「わたしは戻りたくない!!」バンッ
憂「!」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:24:55.68 ID:b43wG1tFO
唯「わたしは嫌なの!!ニートに逆戻りは嫌なの!!」
唯「また…みんなに会えなくなるのは………嫌なの」グスン
憂「でも、いつかは戻らないと……」
唯「戻るって言ったって……どうやって……」ポロポロ
憂「………」
唯「もう憂なんか知らない!!」
バタンッ―――
憂「………」
憂(わたしだって戻りたくないよ……)
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:28:21.34 ID:b43wG1tFO
唯「……グスッ」
コンコン――――
憂「お姉ちゃん……入るよ……」ガチャ
唯「………」
憂「さっきはごめんね……」
憂「少し、考えたんだけどやっぱお姉ちゃんの言う通りだったよ…」
唯「!」
憂「それにお姉ちゃんがいればわたしはそれだけでいいから…」
唯「う、うわぁああああああああああああん」ギュゥゥゥゥ
憂「もう、今日ずっと泣いてるでしょ?」
唯「憂……」
憂「ん?」
唯「一緒に寝よ?」
憂「うん」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:32:00.30 ID:b43wG1tFO
唯「zzz……」ギュゥゥゥゥ
憂「お姉ちゃん暑いよぉ…」
唯「憂ー………」
憂「!」
唯「どこも行かないでね…」
憂「………うん」
唯「zzz………」
翌日
憂「うぅ……頭痛い……」
唯「ういーおはよー」
憂「うん、おはよ…」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:38:04.27 ID:b43wG1tFO
唯「うい、どうしたの?」
憂「ちょっと頭痛くて…」
唯「え、じゃあ今日は休まないとー」
憂「大袈裟だよ お姉ちゃん」
憂(うぅ………日を増すごとに痛くなってくよ……)
唯「あんま無理しちゃダメだよ」
憂「うん、ありがと」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:44:25.70 ID:b43wG1tFO
数日後
唯「ふー今日も楽しかったー」
唯「ただいまー」ガチャッ
唯「あれ?憂いないのかな?」テクテク
唯「う、うい!!」
憂「うぅ……」
唯「憂!起きてよ!どうしたの!!」
憂「頭がね……割れそうなほど痛いの……」
唯「今、救急車呼ぶね!」
憂「大丈夫…」
憂「多分もうちょっとすれば治るから…」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:47:39.82 ID:b43wG1tFO
唯「治るわけないよ!」
憂「ホントに大丈夫だって………それより……」
唯「?」
憂「もうちょっとで学祭でしょ?……練習がんばってね……」
唯「うん……」
憂「ちょっと部屋で寝るね……」
唯「辛かったらお姉ちゃん呼ぶんだよー」
憂「うん…」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:54:20.99 ID:b43wG1tFO
翌日
唯「ういーもう大丈夫?」
憂「あ、お姉ちゃんおはよー」
唯「頭は痛くない?」
憂「ん?」
唯「だって昨日……」
憂「何言ってるの?早くご飯たべよ」
唯「え?」
憂「今日はベーコンエッグでいいよね」
唯「………」
唯「憂……変なこと聞いていい?」
憂「うん。なあに?」
唯「憂は今いくつなの?」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:00:22.74 ID:b43wG1tFO
憂「え、年齢のこと?」
唯「うん…」
憂「お姉ちゃんも知ってるでしょ」
憂「わたしは16才だよ」
唯「………」
嫌な予感が的中した…
憂は戻っちゃった…
もうわたし一人になっちゃったんだ…
唯「……………………………………………………」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:07:25.85 ID:b43wG1tFO
部活
唯「………」グッタリ
律「どうした唯?大丈夫か?」
唯「……うん」
紬「唯ちゃん、お菓子食べないの?」
唯「……うん」
澪「体調でも悪いのか?」
唯「大丈夫だよ………」
梓「唯先輩!練習すれば元気になりますよ!!」
唯「練習?……」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:14:52.04 ID:b43wG1tFO
唯「律っちゃん!学祭まであと何日あるの?」
律「あと、1ヶ月くらいかな」
唯「みんな!練習しよう!!」
梓「はい!」
澪「どうしたんだ?急にやる気になって」
紬「あらあら」
わたしにはもう練習しかなかった…
朝も昼も夜もずっと練習した
休みの日は15時間以上ギー太を弾きまくった…
もう後悔はしたくない……
失敗は許されないんだ……
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:22:49.26 ID:b43wG1tFO
学園祭まであと1週間
律「うーん…なんか調子出ないなぁ…」
澪「あと1週間だぞ!大丈夫か?」
律「もっと練習しないと…」
唯「………」
唯「律っちゃん……ちょっとドラムいい?」
律「え?」
唯「律っちゃん……よく聞いててね」
唯「澪ちゃんもう1回やってみよう」
澪「う、うん…」
ジャカジャカジャーン♪
律「す、すげぇ……」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:29:15.84 ID:b43wG1tFO
澪「唯……いつの間にドラム叩けるようになったんだ…」
唯「あ、澪ちゃん。ちょっとベース借りていい?」
唯「もう1回行くよ」
梓「ま、まさか…」
ジャカジャカジャーン♪
澪「わたしより全然うまい……」
唯「あと、ムギちゃんもキーボード……」
紬「え?……」
ジャカジャカジャーン♪
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:32:23.86 ID:b43wG1tFO
澪律紬梓「…………」
紬「完敗だわ……」
律「唯……お前一体?」
唯「みんな!今わたしが弾いたのをちょっと参考にしてみて」
澪「唯……どうしたんだ?」
唯「えへへ、ちょっとみんなの力になりたくて……」
梓「さすが憂のお姉ちゃんです…」
唯「それよりあずにゃん!あとで一緒に…………………!!!!!」ズキッ―――
梓「どうしたんですか!唯先輩!」
唯「頭……痛い……」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:36:17.00 ID:b43wG1tFO
律「唯……お前がんばりすぎだよ……」
澪「ちょっと休んだ方がいいんじゃないか?」
紬「唯ちゃん。ちゃんと夜は寝てる?」
唯「大丈夫だよ……今やらなきゃ……」
律「でも……」
唯「来年は受験だよ?……練習なんてそんなに出来ないよ…」
澪「そっか……わたしたちもがんばらないと……」
唯(うぅ……憂と同じ症状だ……)
唯(学祭までもつかな……)
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:41:28.83 ID:b43wG1tFO
学園祭前日
律「よーし!今日はこれくらいにするか!」
澪「みんなすごい上達したな!」
紬「唯ちゃんのおかげね」
梓「唯先輩が一番がんばってましたからね」
唯「ふうぅ……ふうぅ……」
律「唯…また頭痛いのか?」
澪「早いけど、明日のために今日は解散しよう」
唯「うん……」
唯(痛くて気が狂いそうだよ………)
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:45:54.44 ID:b43wG1tFO
唯「ただいま……」
憂「おかえりお姉ち………」
唯「うっおぇぇえええええええええええええええゲロゲロロロロロロロロロ」
憂「きゃぁああああああああ!!」
唯「ハアハア……」
憂「大丈夫?すごい熱だよ?」
唯「大丈夫だよ……」
憂「明日休んだ方が……」
唯「ダメだよ……みんなに迷惑かけちゃう……」
憂「………」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:48:57.19 ID:b43wG1tFO
憂「お姉ちゃん……」
憂「わたしが代わりに出ようか?」
唯「え?」
憂「わたしが変装して演奏するの。」
憂「わたしなら数分あればギターを完璧にコピー………」
唯「うるさいッ!!」
憂「!!」ビクッ
唯「憂は軽音部じゃないでしょ!!口ださないで!!」パチンッ――
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 02:56:30.07 ID:b43wG1tFO
憂「ヒグッ……」
唯「前から言おうと思ってたけど憂は生意気なの!!」
唯「憂なら数分で覚えられるかもしれないけど、わたしが覚えるのにどれだけ苦労したか知ってるの!!?」
憂「うぅ……そんなつもりじゃ……」グスンッ
唯「毎回毎回、人を見下して!!何様のつもりなの!!?」
憂「おねえぢゃん……グスッ…おごんないで……」プルプル
唯「もうわたしに2度と顔見せないで!!!」
バタンッ――――
憂「うわぁああああああああああああん」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:01:29.41 ID:b43wG1tFO
唯(うぅ……わたしバカだ………辛いからって……憂に当たっちゃったよ……)グスン
唯(ういぃ………ごめんね……ごめんね……)ポロポロ
唯「グスッ…」
唯「泣いてちゃダメだ……練習しないと……」
わたしは頭痛が始まってから1度も睡眠をとっていません……
憂が酷い頭痛の時に睡眠をとって、そのあとにどうなったか知っているからです……
それに、戻ったところで向こうでは生きているか死んでいるかも分からない。
良くても植物人間じゃないかと思うからです……
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:07:06.84 ID:b43wG1tFO
学園祭当日
憂(お姉ちゃんに謝らなきゃ……)
コンコン―――
憂「お姉ちゃ………」
憂「………」
憂「もう……行っちゃったんだ……」
通学路
唯(ふぅ…ふぅ…目が霞んで前が見えないよ……)
唯(ギー太がこんなに重いなんて……)
唯(もう……歩けな……)フラッ
ガシッ―――
律「唯!大丈夫か!?」
唯「律っちゃん……」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:10:33.96 ID:b43wG1tFO
律「すごい熱だぞ!!」
唯「大丈夫……全然…大丈夫……」フラフラ
紬「唯ちゃん 顔が真っ赤よ!」
澪「とりあえず保健室に行こう!」
律「ムギ!悪いけど梓に保健室に来るように連絡してくれ!」
紬「うん!」
唯「うぅ……」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:19:05.55 ID:b43wG1tFO
保健室
紬「酷い……熱が40度を越えてるわ……」
澪「唯!ちゃんと休まなかったのか!?」
梓「先輩……死んじゃうんですか……」グスン
律「これじゃあ……今日は無理だな……」
唯「!」
さわ子「そうね……辞退するしかないわね……」
唯「やだよ!!」
唯「もう……あんな生活は……」
律「唯、なんのことだ?」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:24:03.47 ID:b43wG1tFO
さわ子「いい?唯ちゃん?」
さわ子「これ以上熱が上がると死んでもおかしくないのよ?それでもいいの?」
唯「ここで何も出来ないなら………死んだ方が全然いいよ……」ポロポロ
律「唯………」
さわ子「いい加減にしなさい!!!!」
唯「!!」ビクッ
さわ子「あなたが死ぬのは勝手だけど、みんなに迷惑がかかるのよ!!?」
さわ子「わたしの首が飛ぶだけならまだいい……」
さわ子「でも、そんなことになったら軽音部は廃部。いや、学園祭自体ができなくなるのよ!!」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:29:32.64 ID:b43wG1tFO
さわ子「全校生徒に迷惑がかかるの…」
唯「うぅ……」ヒグッ
さわ子「だから……また来年がんばりましょ?」
唯(ダメなの……わたしに来年はないの……)
唯(もう……今しかないの……)
唯「うぅぅぅぅ…」ポロポロ
ガラッ―――
憂「ハァ……ハァ……」
澪「憂ちゃん!」
憂「みなさん……一生のお願いがあります……」
憂「お姉ちゃんをステージにあげてください!!」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:35:06.27 ID:b43wG1tFO
さわ子「ダメよ……あなたも唯ちゃんを見て分かるでしょ?」
憂「それを承知でお願いしてるんです!!」
さわ子「………」
憂「お願いします……お願いします……
お姉ちゃんの……わがままを聞いてあげてください……」ポロポロ
憂「ダメだと思ったら……わたしがすぐに止めるんで………ヒッグ……お願いします……」ポロポロ
唯「ういぃ……」グスッ
唯(昨日あんなに酷いこと言ったのに……)ポロポロ
さわ子「………」
さわ子「わかったわ…」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:41:36.27 ID:b43wG1tFO
憂「ホントですか?」
さわ子「ええ……だけど、やばくなったらすぐ止めるのよ!!」
憂「はいっ!」
澪「憂ちゃん……ありがとな……」
紬「唯ちゃん……よかったわね……」
梓「うぅ……先輩……頑張りましょうね……グスッ」
唯(みんな……ホントにありがとう……)
律「よーし!そうと決まれば軽音部のエースをみんなで運ぶぞー!!」
さわ子(ふふっ…唯ちゃんは幸せ者ね)
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:46:50.81 ID:b43wG1tFO
軽音部発表まで残り1時間
律「わたしたちは機材を運んで来るから憂ちゃんは唯を見といてくれ」
憂「はいっ」
澪「唯はおとなしく座ってろよ!」
唯「うん…」
………………………
唯「憂……」
憂「なあに?」
唯「昨日……ひっぱたいたりして……ごめんね……」
唯「憂がいなかったら……もうダメだったよ……グスッ」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:53:16.78 ID:b43wG1tFO
憂「そんなことより もうちょっとで本番だよ!気にしないで!」
唯「うぅ…… 憂には感謝しきれないよぉ……ヒグッ」
憂「もうーお姉ちゃんったらオーバーだよー」
………………………
律「よし!これで全部かな…」
梓「はい!あとは待つだけです!」
澪「ふぅー緊張してきた」
紬「みんな!精一杯がんばろ!」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 03:58:42.65 ID:b43wG1tFO
アナウンス『つづいては、軽音部による発表です』
澪「き、きた!」
憂「お姉ちゃん!出番だよ!」
唯「グス……」
憂「お姉……ちゃん?」
唯「うぅぅ………」
憂「まさか……」
唯「ごめんね……みんな……」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 04:04:41.43 ID:b43wG1tFO
唯「もうねギー太を持つどころか……一歩も動けないの……グスッ」
唯「体が言うこと聞いてくれないの………」ポロポロ
梓「うぅ……先輩……」グス
憂「おねえぢゃん………うぅ…」
唯「みんなと一緒に……演奏したかったよぉ………グスン」ポロポロ
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 04:11:10.00 ID:b43wG1tFO
唯「グス……ごめんね……」
律「唯……お前はよくやったよ……誰も責めないよ……」
澪「唯ありがとな……お前がいなきゃ……みんなこここまで頑張れなかったよ……」
紬「唯ちゃんは……みんなのエースなんだから……泣いてちゃだめよ……」
梓「先輩ありがとう……ゆっくり休んでください……グスッ」
律「終わりだ……辞退しよう……」
唯「……待って」
律澪紬梓「!」
唯「みんなに……恥はかかせないよ……」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 04:17:21.29 ID:b43wG1tFO
唯「憂……昨日あんなこと言ったけど……」
唯「わたしの代わりに演奏して……」
憂「い、いいの?」
唯「憂にしか頼めないよぉ……」
憂「うぅ……グスッ……わがっだよ……おねえぢゃん……」
唯「憂ならわたしの練習見てたから弾けるよね……」
憂「だいじょうぶだよ……」
唯「今から憂は……平沢唯だよ……」
憂「うん……グスッ」
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 04:24:32.63 ID:b43wG1tFO
憂「これで……どうかな?」
唯「うん……わたしにそっくりだよ……」
憂「当たり前だよ……姉妹なんだから……」
唯「じゃあ…頼むね…」
憂「うん!」
唯「………」
唯(あぁ…頭が痛いよぉ……)
唯(意識が遠くなってく……)
唯(あの時と…同じ………
――――
――――――――
―――――――――――――
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 04:31:03.31 ID:b43wG1tFO
―――――――――――――
―――――――
―――
パッ―――
唯「こ、ここは?」
和「やっと目が覚めたのね」
唯「和ちゃん!!」
和「2人とも丸2日も眠ってたのよ」
唯「2人………そうだ!!」
唯「憂は、憂は大丈夫なの?」
その時、隣のベットから声がした
憂「大丈夫だよ!」
唯「憂!」
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 04:36:51.05 ID:b43wG1tFO
憂「なんかね、わたしたちのケガはそこまで重くないらしいよ……」
唯「うん……」
憂「ちょっとリハビリすればまたいつもの生活に戻れるって!」
唯「うん……」
和「ホント、心配したんだから…」
唯「和ちゃん、忙しいのにありがとね」
和「いいわよ、気にしないで!」
唯(さっきのは……夢だったのかな……)
憂「そうだ!お姉ちゃん!」
憂「学祭はどうだったの?」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 04:42:19.35 ID:b43wG1tFO
唯「え?……憂覚えてるの?」
憂「途中まではね…」
唯「………」
唯「学祭はね……やっぱりダメだったよ……」
憂「!」
唯「直前で体が動かなくなっちゃって……」
唯「結局、憂に頼んじゃったよ……」
憂「………」
唯「わたしはやっぱりニートだったんだよ……」
唯「ニートが昔に戻ったところで何も結果は変わらないんだよ……」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 06:13:39.34 ID:b43wG1tFO
唯「うぅ……グスンッ」
憂「でも、お姉ちゃんがんばったんでしょ?」
憂「もうお姉ちゃんは今までとは違うよ」
唯「ありがと……憂」
和「?」
憂「そういえばね、さっき軽音部のみんなが来たよ!」
唯「!」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 06:17:50.33 ID:b43wG1tFO
憂「つい、10分くらい前に帰ったから今行けば間に合うよ」
唯「………」
憂「………」
憂「いいの?行かなくて……」
唯「うん、今のまんまじゃ恥ずかしくて会わす顔がないよ……」
憂「そっか……」
和「唯、まだニートなの?」
唯「ギクッ!」
和「だったら、わたしの知り合いの会社に入らない?」
和「簡単な事務の仕事だけど人手が足りなくて……」
唯「い、いいの?」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 06:20:44.24 ID:b43wG1tFO
和「唯がいいなら全然構わないわよ?」
唯「………」プルプル
和「?」
唯「わぁああああああああああああん!!のどかちゃんあいしてるよおおおおおおおおお!!!!」
和「ちょ、ちょっと病院よ!静かにしなさい!」
憂「よかったね!お姉ちゃん!」
唯「びえええええええええええええええん!!!!」
和「全く、昔と全然変わらないわね」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 06:25:49.43 ID:b43wG1tFO
和「じゃあ退院したら頑張るのよ?」
唯「うん!ありがと」
憂「働いたら家にお金いれてね!」
唯「うん!」
唯「わたしね…」
憂和「?」
唯「一人前になったらみんなに会ってくるよ!」
憂「そうだね!」
和「そのときは胸を張って行くといいわ」
唯「えへへ…」
唯「わたしがんばるよ!!」
FIN.
171 名前:謝罪の件について:2009/09/13(日) 06:34:34.64 ID:b43wG1tFO
あとちょっとで終わるとこで俺自信の充電が切れました
1時間くらいあいたのかな?
夜おそいのにわざわざ付き合ってくれて申し訳ない……
この1時間の間に寝てったやつには何を言われても文句は言えない……
オチもたいしたもの用意できなくてホントにすまなかった……ちょっと出直してくるわ……
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