梓「親がジャズバンドやってます」
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:11:46.10 ID:Amzv6J3L0
梓友「ジャズ研どうだった?」
梓「ん~……。本物のジャズってのとは少し違ったかな」
梓友「そっか~」
梓「やっぱり、しょせん高校レベルでは期待する方が酷ってことかな」
梓友「梓がそう言うなら、そうなんだろうね」
梓「まぁ、私は小さい頃から本物のジャズを生で聴いて育ってきたから」
梓友「なんせ両親がジャズバンド組んでるんだもんね」
梓「子守唄はずっとジャズだったよ」
梓友「さすがだよね」
梓「まぁね」
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:13:20.00 ID:RXsgRt3J0
そして梓友は立ち去っていった
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:15:06.90 ID:Amzv6J3L0
… … …
梓友「梓、軽音部に入っちゃったの!?」
梓「あ、うん」
梓友「でも、チラッと見たときなんだかヤル気のないクラブっぽかったじゃん」
梓「だからさ、私が教えてあげようと思って」
梓友「あ、そうなんだ」
梓「ジャズ研は活動自体は真面目っぽかったし。
そんなちゃんとしてるところにいきなり新入部員が
『こんなのは本物のジャズじゃありません』って言ったらどうなるか」
梓友「普通に考えたらイジメられそうだよね」
梓「うん。でも私、きっとその内我慢出来ずに言っちゃうと思うし」
梓友「梓は本物を知ってるもんね」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:18:19.58 ID:Amzv6J3L0
梓「それに新歓ライブ見た時、そこそこ面白い演奏もしてたし」
梓友「軽音部が?」
梓「そう」
梓友「ふ~ん。梓のお眼鏡にかなったんだ」
梓「そういう事。学校でくらい、ただ楽しいだけの演奏するのもいいかなって」
梓友「家では違うの?」
梓「親が本物だからね。暇つぶしに部屋でギターかき鳴らしてても
すぐ『ここはこうした方がいい』とか言ってくるんだよ」
梓友「やっぱり本物は厳しいんだね」
梓「うん、どうしても本物はそうなっちゃうよね」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:21:25.68 ID:Amzv6J3L0
梓友「だから、せめて学校ではってことなんだ」
梓「さすがに、私の親も学校にまでは乗り込んで来ないだろうしね」
梓友「本物でも、それはさすがにないよね」
梓「まぁ、本物はやることが極端だから、実際そうならないって保障もないけど」
梓友「本物って恐い」
梓「なんせ本物だからね」
梓友「でも、梓もそんな本物の娘なんだから、梓自身も本物なんじゃないの?」
梓「まぁ、私が本物か本物じゃないかと聞かれたら、本物と答えざるを得ないね」
梓友「だったら本物である梓が軽音部に入ったら、軽音部も本物になっちゃうね」
梓「うん、きっと本物に変えてみせるよ」
梓友「いよっ! ほんものっ!」
梓(そう……変えてみせる。この私自身を!)
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:23:02.28 ID:31Uotu9a0
ミサワみたいだ
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:23:58.59 ID:Amzv6J3L0
… … …
梓「こんにちは!」
律「おっ、新入部員様がいらっしゃった」
紬「なんだか元気いっぱいね」
梓「はい! 早く部活の時間にならないかなって、授業中もそわそわしてました」
唯「そうなんだぁ」
律「じゃあ、さっそく……」
梓「練習ですね!」
唯「お茶にしよ~!」
梓「えっ」
律「ティータイムがウチの売りだから」
梓「……」
紬「梓ちゃん?」
梓(な、なんて……)
梓(なんて軽いノリの素敵な部活なんだろう!)
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:26:25.41 ID:Amzv6J3L0
澪「こらこら、折角やる気出して来てくれてるんだから、まずは練習だろ」
澪「とくに唯は同じギターなんだから、もっと先輩として恥ずかしくないレベルにならなきゃ」
唯「え、えへへ、そうだね」
律「しゃーない、先に練習するか」
紬「あ、あの~。もう紅茶淹れちゃったんだけど……」
澪「な、なら飲まなきゃもったいないな」
唯「ムギちゃんナイス!」
梓(一番厳しそうな先輩も結局のところ、お茶とお菓子の誘惑には弱そう)
梓(中学では部活やってなかったし、高校で初めて部活に入ったけど、皆さん優しそうな感じでよかった)
律「そういえば、梓はギター凄く上手かったよな」
梓「あ、いえ……たまたまです」
律「嘘つけ~、たまたまであんな演奏できないって」
梓「えへへ」
梓(そりゃ、あれだけ魅せつければ、どんな下手くそでも私が上手いってわかるよね
ってか正直言って、私がこの中で一番上手いでしょ)
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:29:11.04 ID:Amzv6J3L0
唯「梓ちゃんって、いつからギター始めたの?」
梓「あ、えっと、小4くらいからです」
澪「そんな早くからなんだ」
律「小4ってたら私なんかまだ公園で鬼ごっことかやって遊んでた時期だなぁ」
紬「ギターやってみたいと思った切っ掛けは?」
梓「あ……それは……」
唯「なにかあるんだ」
律「こんなに上手いんだからさ、なにか特別なすっごい理由があるんじゃないの?」
紬「確かに、女の子で小学生のころからギターやってるなんて珍しいかも」
梓「り、両親がジャズバンドをやっていたのでその影響で」
澪「へ~、夫婦でバンド組んでるんだ」
律「え! それって普通に凄いじゃん!」
梓(……また、やってしまった)
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:30:12.81 ID:Amzv6J3L0
澪「どおりで演奏が上手いはずだよ」
律「環境からして違ったんだな」
紬「まさにサラブレッドね」
唯「梓ちゃんすごーい!!」
梓「いや……あの……」
梓(今なら、まだ引き返せる)
梓(中学までの自分とはもうサヨナラしなきゃ)
梓(高校に入って、こんな楽しそうな部活に出会えたんだから)
梓(だから、ちゃんと言わなきゃ……)
梓(本当はお父さんはトラックの運転手で、お母さんは売れない演歌歌手やってたって言わなきゃ!)
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:36:06.85 ID:Amzv6J3L0
梓(物心ついたときから家には演歌が溢れていた)
梓(正直私はそんな濃すぎる日本の魂に辟易していた)
梓(そして小学生のときには私に触れると喋りに『こぶし』がきいてしまうという設定の
『梓演歌菌』なんてものもクラスで流行ってしまった)
梓(そんな親への反発と演歌のイメージを払拭しようとして、私は小4でギターを始めた)
梓(中学へ上がる頃には、私の努力もあって徐々にそんなイメージも消えつつあった)
梓(しかも、ちょうど学区の整備により、私のことをよく知っている以前の小学校のクラスメイトの大半とは
違う中学校へ行くことになった)
梓(すでに、演歌のイメージは無いに等しい私だったけど、これによって
同じ中学には私の過去を知る者は殆どいなくなった)
梓(そんな私が演歌歌手の娘だと知らない子からの質問)
「梓ちゃんってなんでギター始めたの?」
梓(まさか親が昔演歌歌手でそれがダサいからギター始めたなんて言えない)
梓(また皆に馬鹿にされるかもしれない)
梓(だから私は言ってしまった)
「親がジャズバンドやってるんだ」
梓(なんでジャズかは、なんだかジャズって言った方がカッコよさげだったから)
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:39:35.22 ID:Amzv6J3L0
梓(中学のときについつい見栄を張って出てしまったデマカセが何故か今の今までそれを通してしまった)
梓(今度は嘘をつき通すことに神経をつかわなければならなくなっちゃったし)
梓(……まぁ、皆の羨望の眼差しが気持ちよかったってのもあるけど)
梓(だけど、高校への進学と同時に私は変わると誓った)
梓(この高校を選んだ理由は同じ中学からの進学者が比較的少ないってこと)
梓(その少ない中でも私の親がジャズバンドを組んでいると思っているのは部活見学を一緒に回った梓友ただ一人)
梓(今は同じ学校だったってだけでつるんでるけど、実際中学時代もそんなに仲が良かったわけじゃない)
梓(私があの子と違う部活を始めればその内疎遠になる)
梓(そして私は素直で正直な自分に生まれ変わって、楽しい部活ライフを始める)
梓(筈だったのに! 筈だったのにぃ!)
梓(私の小さくてくだらないプライドがどうしても親にジャズバンドを組ませたがるっ!)
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:42:46.22 ID:Amzv6J3L0
唯「なんか親がジャズバンド組んでるってカッコイイなぁ!」
梓「まぁ、私は産まれた時からその状況だったので、特に意識したことはありませんが
おかげで本物のジャズに触れることが出来たので感謝はしてますね」
梓(これ以上はいけない! さぁ梓、ちゃんと白状するのよっ!)
唯律澪紬「おぉ~」羨望の眼差し
梓(あぁ……気持ちいい)
梓「だけど、先輩方の新歓ライブでの演奏もなかなかのものでしたよ」
梓(って、なんでこんなに上から目線になっちゃうのっ!?)
唯「褒められたっ!」
律「いや~、下級生とは言え、実力者に褒められると嬉しいもんだな」
梓「そんな……実力者だなんて」
澪「梓には何かと教わることがありそうだな」
紬「お願いね、梓ちゃん」
梓(うへへ、上級生にお願いされちゃってるよぉ)
梓(って、調子に乗っちゃダメっ!)
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:47:07.12 ID:Amzv6J3L0
梓「あ、あのですねぇ」
唯「そんなに昔からジャズに触れてるってことは何かジャズに関する特別なエピソードとかないの?」
律「あ、それは聞きたいな」
澪「親がジャズバンド組んでるなんて滅多にいないしな。よければ聞かせてくれないか?」
紬「きっと、とてもカッコイイお話に違いないわっ!」
梓「ま、まぁ、そこまで言うなら聞かせてあげないこともないですけど」
唯「わぁ! 楽しみ!」
梓「そうですねぇ……。中学のときの話なんですけど」
律「うんうん」
梓「先生にノートを持って来いって言われて、ついついブルーノートのCDを間違えて持って行っちゃったり」
唯「ブルーノート?」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:47:58.81 ID:Amzv6J3L0
澪「ジャズを専門に扱うレーベルだよ」
紬「昔からジャズに慣れ親しんできたからこその間違いよね」
律「さっすが! 親がジャズバンドやってると、間違いもなんかカッコイイよな!」
梓「ま、まぁ、私にとってはノートといったらどうしてもブルーノートになってしまいますからね」
唯「梓ちゃんカッコイイ!」
梓「えへへ」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:49:22.38 ID:Amzv6J3L0
唯「ねぇねぇ、他にはないの?」
梓「そうですね……。私くらいずっとジャズと共に生きていると
たま~にジャージのことをジャーズって言っちゃいますね」
梓(うわっ! 糞つまんないっ! 私何言ってるんだろ!?)
澪「へ、へぇ……」
梓(そ、そりゃそんな冷めた反応になるよね……。言った私もビックリしたもん。
でも、これを機に親がジャズバンドやってるって嘘でしたって言っちゃおう)
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:52:09.40 ID:Amzv6J3L0
唯「か、カッコイイ!!」
梓「へっ!?」
紬「ナチュラルにそんな事になっちゃうなんて凄いわ!」
律「普通の人が言ったら間違いなく『なに訛ってるんだよ』ってツッコまれるところだけど」
澪「梓が言うと、それらしく聞こえるから凄いよな」
梓「な、何を言って……」
唯「さすが親がジャズバンドやってるってだけあるよ~」
梓(そうか! 先輩方は私の親がジャズバンドやっているってことに取り付かれて
物事をちゃんと判断出来なくなっちゃってるんだ!)
梓(ある意味親の七光り! この場合は嘘だけど……)
梓(こんな状況で嘘でしたなんて言ったら可愛さ余って憎さ百倍
よくも騙してくれたな! と感心した分反発もものすごいに違いない!)
梓(いいカッコしいの梓で私のイメージが固まってしまう!)
梓(とりあえず、この場は私から話題を逸らそう)
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:56:00.57 ID:Amzv6J3L0
梓「唯先輩はギター始めてどのくらいなんですか?」
唯「私? えっとね……ちょうど1年くらいかな」
梓「えっ!? 1年であの演奏ですか!?」
唯「う、うん。ごめんね下手くそで」
梓「い、いえ。そうじゃなくて」
梓「1年でボーカルしながらあれだけ弾けたら充分過ぎるなぁって」
唯「そう?」
梓「はい、結構才能あると思いますよ」
律「まぁ、唯も才能っていう点では梓に負けず劣らずだからなぁ」
澪「お、おい、あれ言っちゃうのか?」
律「この際だから言ってやれ唯」
梓「なんです?」
唯「えっとね、私のお父さんオーケストラの指揮者やってるんだ」
梓「!?」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 23:59:41.20 ID:Amzv6J3L0
梓「お、オーケストラの指揮者……ですか……」
唯「そうなんだ、マエストロってやつなんだよぉ」
梓「ま、マエストロ……」
梓(なんてカッコイイ響きなんだっ!)
唯「年中世界を飛び回っててね。この前もベルリンで公演したって言ってたかな」
梓(しかも世界的ときたもんだっ!)
梓「そんな指揮者の娘がなんでギターなんです?
本当ならバイオリンとかもっとクラシックな方面に行く気が」
唯「私の家には物心ついたときからクラシック音楽に溢れててね」
唯「作者がどう思ってこの曲を作ったのか、この一小節に込められてる想いはどうとか」
唯「私はもっと自由に音楽を聴いていたかったのにさ、すごく堅苦しくて……」
唯「おかげでなんだか音楽アレルギーになっちゃってね」
唯「高校へ入るまでは音楽とは無縁の人生を歩んで行こうって思ってたんだけど」
梓「へ、へぇ」
梓(やべぇ! 本物がここにいるっ!)
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:05:02.31 ID:AnC3Vpea0
唯「ひょんなことからこの3人の演奏を聴いて、やっぱり音楽って
こんなに楽しくて、こんなに自由なものだって気づいて」
唯「だから、私もこの3人となら一緒にやって行ける気がしてね」
澪「唯……」
唯「何よりも、あんまり上手くなかったのが決め手だったかな」
律「うぉい! せめていい話で終わらせとけよ!」
唯「えへへ、まぁ、ギターを始めたのは親への反抗心ってのもあるかな
ほら、ロックってそんな感じでしょ」
梓(なんてこった……。ギター始めた切っ掛けは同じような理由なのに
片や世界的マエストロの娘、片や売れない演歌歌手の娘)
梓(圧倒的敗北感!!)
唯「梓ちゃん? どうしたの?」
梓「り、律先輩はいったいどのような理由でドラムを始めたんですか?」
律「へっ? 私?」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:09:03.86 ID:AnC3Vpea0
律「私は澪と一緒に見た、あるロックバンドのライブDVDの影響かな」
梓「あ~、それはありがちですね」
梓「ってことは澪先輩も同じ理由で?」
澪「まぁそうかな。ほとんど律に無理矢理やらされた感じだけど」
梓(よかった、この人たちは普通だ)
律「まぁ、澪とは小さい頃から家族ぐるみの付き合いだしさ」
律「何よりも、父親同士がコンビ組んで仕事してるようなもんだし」
律「その娘がバンドでリズム隊組むのも面白いんじゃないかなって」
律「私も何かしら音楽には関わっていたいって気持ちだったけど
ギターやキーボードみたいなちまちましたことは苦手でさ」
律「親の仕事みたいな繊細なことは、私のような大雑把なやつには出来そうもないし」
梓「親の仕事? いったい何をなさってるんです?」
律「調律師だよ」
梓「ち、調律師って、あのピアノの調整とかする人ですか!?」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:12:41.66 ID:AnC3Vpea0
律「うん、そう。やっぱり親の仕事ってさ、子供から見てカッコイイって思うじゃん?
だから、私も何か音楽に関わっていたいと思って」
律「しかも、名前が『律』だし。そんな名前付けられたら音楽をやらざるを得ないっての」
梓(ここにも音楽に造詣が深い親を持つ娘が……)
梓「あ、ってことは親同士がコンビを組んでるっていう澪先輩の親御さんも?」
澪「うん。私のパパ……お父さんは、ベーゼンドルファーってとこでピアノ職人してるんだ」
梓「ベーゼンドルファー!? 世界のピアノ製造御三家じゃないですかっ!」
澪「よく知ってるな」
梓「ま、まぁ、ジャズにはピアノの楽曲も多数存在するのでそのくらいは」
梓(嘘をつき通すためになまじ知識だけはあるんだよね……)
律「さすがジャズバンドやっている親の娘だけはあるな」
梓「ウチの親は本物ですからね。あ、あはははは……」
梓(どうしよう……。この流れじゃきっとムギ先輩の親も……
でも、流れ的に聞かないわけにはいかないし……)
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:16:22.66 ID:AnC3Vpea0
梓「あ、あの。ムギ先輩の親御さんも何か音楽に関わる仕事をしてる……とか」
紬「ごめんなさい。私の親は音楽とは無縁なの」
梓「そうですか」ホッ
紬「私の親は会社社長で家はただの金持ちなの。なんだか普通でごめんね」
梓「正直一番羨ましいです」
唯「でも、ムギちゃんはピアノのコンクールで賞を獲ったことがあるんだよ~」
紬「もう昔のことよ」
梓「確かに、ライブのときもキーボードが一番安定していたように思います」
律「おっ、後輩のくせに生意気な奴だな~。まるで他が駄目だったみたいな言い方じゃん」
梓「あ、いえ。そういうつもりじゃ……」
澪「まぁ、それに関して言えば私たちが一番よくわかってることだけどな」
律「それにさ、親が音楽とは無縁だって言ってたけど、ムギのところで楽器店経営してるじゃん」
唯「そうそう、私もそこでギター買ったし」
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:19:32.24 ID:AnC3Vpea0
梓「そ、そうなんですか」
澪「あの駅前商店街の10GIAだよ」
梓「わ、私もそこでギター買いましたよ!」
紬「お買い上げありがとうございま~す」
梓「あ、いえ。ども」
律「今度から何か買う時はムギの名前出したら安くしてくれるよ」
澪「こらこら」
紬「でも、お得意様になってくれるなら、私からも店員さんに梓ちゃんのこと言っておくわ」
梓「あ、ありがとうございます」
唯「ムギちゃ~ん、私も~」
澪「唯は25万のギターを5万にまけてもらっただろ」
梓「……」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:21:46.27 ID:AnC3Vpea0
澪「ん? どうした梓、なんか元気ないな」
梓「あ、えっと……なんだか皆さんの親御さんのお仕事がとても立派だなって……」
律「なに言ってるんだよ、梓のとこの親も充分立派じゃん」
澪「それに私たちの親はこっち方面には疎い関係の仕事してるけど」
紬「梓ちゃんの親御さんはダイレクトでバンド活動に関係があるじゃない」
唯「そうだよ、この中で一番恵まれてるよ~」
梓「そ、そうですよね~、あははは」
律「やっぱり、親と一緒にライブしたりすることもあるの?」
梓「まぁ……たま~に?」
梓(ないない! ライブ自体一回もやったことないよ!
唯一あるのは小さい頃に町内会のカラオケ大会でお母さんと一緒に演歌歌ったくらいだし!)
唯「すご~い! やっぱりカッコイイよぉ~」
澪「やっぱり梓には教わることが沢山ありそうだな」
梓「ま、任せて下さいよ!」
梓(うぅ……なんだかすごい部活に入っちゃった……)
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:25:07.90 ID:AnC3Vpea0
… … …
梓「はぁ~……せっかく、楽しそうな部活に入って
今まで欺瞞に満ちた学生生活にピリオドを打とうって思ってたのに……」
梓「よもや音楽に深く関わる仕事をしている親を持つ娘が多数いる部活に入っちゃうなんて」
梓「マエストロの娘です! 調律師の娘です! ピアノ職人の娘です!
金持ちの娘です! 売れない演歌歌手の娘です!」
梓「あ、明らかに一人だけ浮いている……」
梓「まぁ、金持ちの娘ってのも大概だけど……」
梓「でもこの中じゃ演歌歌手の娘なんて絶対に馬鹿にされる」
梓「ある意味、親がジャズバンドやってるって言っといて正解だったかもしれない」
梓「そうだよ、中学の頃だってなんだかんだ言ってバレなかった」
梓「高校でだって大丈夫なはず!」
梓「それに、別にギターの腕は嘘じゃないんだし」
梓「うん! 私なら出来る!」
梓「私は私の道をいく!」
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:27:44.03 ID:AnC3Vpea0
梓「せっかくの部活だもん、楽しまなきゃね」
梓「ただいま~」ガチャ
梓母「んんんんあずさちゃぁぁあぁぁぁぁあん
おかえりぃぃぃいぃぃぃぃいいぃぃぃぃぃ」
梓「もう! 家ではこぶしまわすのやめてって言ってるでしょ!」
梓母「ごめんね、梓ちゃん。お母さんどうしても昔を忘れられなくて」
梓「恥ずかしい思いをするのは私なんだから……」
梓母「恥を忍んで 貴方を想うぅぅぅうぅぅぅうぅぅうううぅぅぅ」
梓「即興で歌わないで!」
梓母「ついつい」
梓「ついついじゃないってば」
梓母「ズン、ズンズンズンドコ」
梓「あ・ず・さ!」
梓「って何やらせるのよ!」
梓母「やっぱり血は争えないのよ」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:31:02.76 ID:AnC3Vpea0
『桜ぁぁぁが丘ぁぁああぁぁあぁ 恋慕情ぅぅぅうぅぅぅうぅぅうううぅぅぅ♪』
梓「こ、この曲はっ!?」
梓父「お前っ!」ガチャ
梓母「あんたぁぁぁぁあぁあぁぁんんぁぁあああぁぁぁぁぁぁ」
梓「ちょ! お父さん!? 仕事は!?」
梓父「ああ、荷物の配達先の経路が丁度この近くを通る道だから、ついでに家に寄ったんだ」
梓母「あんたぁぁぁ3日ぶりぃぃぃぃぃいいぃぃぃ!!」
梓父「相変わらず、いいこぶしきかせてるな!」
梓「どうでもいいけど、トラックのカーステの音量どうにかしてよ! ご近所迷惑でしょ!」
梓父「ああん!? 母さんの歌のどこが迷惑だって言うんだ!?」
梓「誰の歌だってこれだけの音量で鳴らせば迷惑になるって!」
梓父「母さんの歌は別格だろ!」
梓「ああもう!!」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:34:04.78 ID:AnC3Vpea0
梓父「十数年前、カーラジオから流れてきたこの歌に俺は文字通り心を奪われた」
梓父「キャンペーンでCDを手売りで売り歩いてた母さんに出会い」
梓父「そして梓、お前が産まれた」
梓「途中端折りすぎでしょ!」
梓父「なんだ? 詳しく聞きたいのか? この思春期め!」
梓「うぜぇ!」
梓「ってか早くこの歌なんとかしてよ!」
梓父「なんだよ、演歌が嫌いな日本人なんていないだろ?」
梓「少なくとも私はそんな親のせいで嫌いになった!」
梓父「ったくよぉ、ギターなんて始めてやがってよ、この西洋かぶれがっ!」
梓「むしろそっちの日本エキスが濃いだけだって」
梓母「あんたぁぁ 時間はぁぁぁ 大丈夫ぅぅぅぅうぅぅううぅぅ?」
梓父「おっと! いけねぇ! じゃあな!」
梓母「気をつけてぇぇぇ 生きて 生きて 巡りあうぅぅぅぅううぅぅぅ」
梓「もうやだ……」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:39:40.57 ID:AnC3Vpea0
… … …
梓(私が軽音部に入って数週間)
梓(相変わらず練習時間よりもお茶の時間の方が多いヌルい部活動)
梓(し、幸せだなぁ)
梓(狙い通り梓友と一緒に過ごす時間も段々減ってきてるし)
梓(部活でもそれ程親がジャズバンドやってるっていう話題にならない)
梓(ただ……)
唯「あずにゃん! これ美味しいよ~♪」
梓(変なあだ名をつけられてしまった)
梓「ま、それも些細なことだし」
紬「もしかして、このお菓子あんまり梓ちゃんの好みじゃなかった?」
梓「あ、いえ、すごく美味しいですよ」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:42:13.29 ID:AnC3Vpea0
澪「なぁ、梓」
梓「はい?」
澪「ちょっとお願いがあるんだけど」
梓「私に出来る事ならなんでも」
紬「みんなとね、相談したんだけど」
律「私たちってさ、バンド組んでる割にはライブ経験が学校の行事でしかないんだよ」
唯「せいぜい学園祭と新歓ライブくらいなもんなんだよね」
澪「だからさ、梓の親がどんな感じでライブやってるのか参考にしたいんだ」
梓「!?」
律「もっと言うなら、生でライブしてるところ見てみたいんだよ」
梓(つ、ついに恐れていたことが……)
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:44:49.00 ID:AnC3Vpea0
梓(中学まではバンドといえどジャズになんて興味のないガキばっかりだったから
親のライブを見に行きたいなんて言い出す子はいなかったんだけど)
梓(ってかそれを見越してのジャズバンド設定だったし)
梓(でも、やっぱりバンド組んでる人間からすれば、例えジャズでも見てみたいってのが普通だよね)
梓(しかも知り合いの親がやってるってなればなおさら)
梓(流石にもう無理だ……)
梓(正直に白状しよう)
梓(仮にここで先輩たちに愛想を尽かされて高校生活でのバンド生命が絶たれたとしても、それは私の責任)
梓(グッバイ私の部活ライフ。これにて試合終了です)
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:46:36.75 ID:AnC3Vpea0
紬「出来れば、梓ちゃんもステージに上がってるところも見てみたいかなって」
唯「あずにゃんもたま~に一緒にライブしてるんだよね」
梓「あのですね!」
澪「やっぱり迷惑か?」
梓「その……なんというか……」
律「ちゃんとさ、お金とかも払うから」
唯「そうそう、なにもタダで連れていけってわけじゃないんだよ」
梓「いや……だから……」
澪「もしかして、梓の親のバンドは人気過ぎてもうチケットが取れないとか?」
梓「そ、そうなんですよ! もう毎回発売即SOLD OUTなんです!」
律「それは凄いな」
梓(バンド生命延長決定!!)
梓(って馬鹿!!)
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:47:46.69 ID:nmE9rH0Li
この梓かわいい
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:50:47.74 ID:AnC3Vpea0
律「でもさ、そんなずっとってことはないだろ?」
梓「いえ、いつも小さいハコでやってるもんで常に瞬殺なんです」
唯「すごい人気なんだね」
澪「だったら、もうちょっと大きめのところでやればいいんじゃ……」
梓「ウチの親はオーディエンスとの繋がりを大切にしたいという本物志向なので」
律「はぁ~、さっすが本物は違うんだな」
梓(我ながら苦しい……だけど、諦めたらそこで試合終了だ)
梓(安西先生、バンドが……したいです!)
梓(だから、梓はいけるところまでいってやります!)
紬「だったら、私の父に頼んで主催者側になっちゃったらいいわ!」
梓(クソッタレ! 金持ちがっ!)
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:52:09.09 ID:AnC3Vpea0
唯「どういうこと?」
紬「チケットが取れないならあっちから来てもらえばいいのよ」
澪「なんか革命起きちゃいそうな言い草だな」
紬「幸い、ウチの経営しているライブハウスにも小規模なものが幾つかあるし」
律「なるほど、それだったら私たちの分のチケットを最初っから取っといてもらえばいいもんな」
紬「もちろん梓ちゃんの親御さんにはギャラも弾むわよ」
梓「で、でも……スケジュールが」
澪「どのくらい先まで詰まってるんだ?」
梓「え、えっと……ご、5年?」
澪「そんなに先まで……」
梓(ってか5年先までお父さんに配送の仕事があるかどうかの方が怪しいよ……)
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:53:55.30 ID:pSC0BQxh0
あずにゃん…
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:55:14.70 ID:AnC3Vpea0
唯「そうだ! いいこと思いついた!」
律「なんだなんだ?」
唯「本番は無理でもさ、リハーサルとか見せてもらえないのかな?」
梓「!?」
律「おお! むしろそっちの方が興味津々だよ!」
唯「こっちには娘っていう関係者がいるんだし」
澪「ちょっと権利濫用って気もしないでもないけど」
律「梓お願いっ! この近くでやるライブのときだけでいいんだ!」
紬「私からもお願い! きっとこのバンドの糧にしてみせるから」
澪「私からもお願いするよ、本物に触れてみたいんだ」
唯「あずにゃ~ん、お願~い」
梓「か、海外に……」
澪「ん?」
梓「今、親は海外公演へ行ってるので」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 00:57:44.30 ID:AnC3Vpea0
唯「そ、そっか……」
律「さすがに海外までリハ見に行くわけには行かないよな……」
梓(ついに海外進出を果たしてしまった……)
紬「いつくらいに帰ってくるの?」
梓「北米の後にヨーロッパ各国を転々とするので半年は……」
澪「結構長いな……」
梓(ヨーロッパを転々とするってのはある意味本当なんだよね)
梓(ただそれがハウステンボスだったりポルトヨーロッパだったり
志摩スペイン村への荷物の配送なんだけど……。しかも明日には帰ってくるし……)
唯「あずにゃん……」ウルウル
梓「えっ? な、なんで唯先輩そんな涙目で……!?」
唯「あずにゃん! 寂しいね、寂しいね!」
梓「唯先輩!?」
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:00:32.75 ID:AnC3Vpea0
律「そ、そっか……唯も親がよく海外へ行って留守にするもんな」
澪「あ~、そういえばそうだったな」
唯「だからあずにゃんの寂しさがよくわかるんだよ~!」
梓(うぅ……罪悪感……)
唯「私は妹がいるからいいけど、あずにゃんはずっと独りだよね」
梓「はぁ……まぁ……」
梓(実際毎日うるさいくらいだけど)
唯「だったらさ、この週末はみんなであずにゃんのお家に泊まろうよ!」
梓「えっ! あの、ちょっと!?」
律「それいいな!」
澪「うん、親がバンドやってるんだから、家にもなにか参考になるものがあるかもしれないしな」
紬「庶民のお家でお泊りするの夢だったの~」
梓「いや……でも……」
唯「ダメ?」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:03:18.79 ID:AnC3Vpea0
梓(あんまり断ってばかりいると逆に怪しまれるかもしれない……)
梓「わ、わかりました」
唯「やった~!」
梓(でも、どうしよう……お母さん今は普通の専業主婦だから毎日家にいるし)
梓(それだけでも、両親がバンドやってるって嘘がバレてしまう)
梓(嘘をつくとまた新たな嘘をつかなきゃいけなくなるとはよく言ったもんだ)
梓「……」
梓(だけど、今更引き返せない)
梓(ええいっ! ままよっ!)
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:06:14.11 ID:AnC3Vpea0
… … …
梓(とは言ったものの、いったいどうすれば……)
梓母「どうしたの? 梓ちゃん。元気ないわね」
梓「ちょっとね……」
梓(ああ、先輩達が来る日だけどっか行ってくれないかなぁ……)
梓母「歌おうか?」
梓「やめて」
梓母「でも、お母さん心配だし……」
梓「それでなんで歌うって発想になるかなぁ……」
梓母「じゃあ、お母さんどうすれば……」
梓「普通にしててよ」
梓母「親の心ぉぉぉぉぉっ 子知らずぅぅぅぅううぅぅぅうぅぅぅ」
梓「結局歌うんかい」
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:09:41.91 ID:AnC3Vpea0
梓母「梓ちゃんが普通にしてていいって言うから……」
梓「そうだね、それがお母さんの普通だったね、私が悪かった」
梓母「梓ちゃんがこの調子だったら、今週末の旅行取りやめにしようかしら」
梓「旅行?」
梓母「結婚記念日に夫婦水入らずで温泉に1泊旅行にでも行こうかってお父さんが」
梓「えっ!? それ本当!?」
梓(これはチャンス!)
梓母「梓ちゃんももう高校生だし、独りでお留守番するのも大丈夫だろうって」
梓「中学生でも充分出来るわ」
梓母「でも、なんだか梓ちゃん元気ないようだから、1泊はやめにして日帰りにしようかなって」
梓「いやいや、行きなよ! せっかくの結婚記念日なんだからさ!」
梓母「そう?」
梓「うん!」
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:11:47.38 ID:AnC3Vpea0
梓母「じゃあ、お言葉に甘えて」
梓「1泊といわずにもう2泊3泊しちゃいなよ!」
梓母「お父さんお休みその2日しか取れなかったのよ」
梓「そうなんだ~、お父さんも大変だよね~」
梓母「なんだか梓ちゃん元気になった?」
梓「私はいつでも元気だよ!」
梓(まさに形勢逆転!)
梓(これは私に嘘をつき続けろっていう神様からの啓示に違いない)
梓(なんとか上手いことやってやるです!)
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:15:00.61 ID:AnC3Vpea0
そして当日…
唯「おじゃましま~す」
梓「どうぞ、遠慮なさらず」
律「ほうほう、ここがかの有名なジャズバンドの……」
紬「意外と普通ね」
澪「そりゃ、ムギの想像を超えることなんてこれから先もそうそうないだろ」
唯「でも、こっちの棚にはCDが一杯だよ!」
澪「凄い量だな」
紬「さすが両親がバンド組んでるだけあるわね」
律「梓は小さい頃からこれらのCDを聴いて育ってきたんだな」
梓「普通ですよ、普通」
唯「気取らないところがまたカッコイイよね」
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:19:29.49 ID:AnC3Vpea0
梓(いったいこれだけの量のCDを集めるのにどれだけ私が苦労したか)
梓(私のコレクションだけじゃ心許ない)
梓(だから今、近所のCDレンタル店のジャズ系のCDの殆どは我が家にあると言っても過言じゃない)
梓(新しいギターやその他諸々、欲しかった物を犠牲にしてお年玉貯金を切り崩した涙の結晶)
梓(途中、なんでこんなことしてるんだろ、って悲しくなってしまったけど)
梓(もう、ここまで来たら絶対に突き通す!)
梓「プレイヤーはそこにあるので、なにか気になるものがあったら聴いてもらっても結構ですよ」
澪「そうだな、何か聴かせてもらおうかな」
梓「あ、これとかオススメですよ。もしジャズでわからないことがあったらなんでも聞いて下さい
私の答えられる範囲で、ですけど」
律「すんなりオススメできるあたりはさすが本物だな」
梓「えへへ。じゃあ、私は何か飲み物でも持ってきますので、ゆっくりしてて下さい」
紬「手伝おうか?」
梓「大丈夫です」
梓(そう、大丈夫。あの棚にあった演歌のCDは全部入れ替えたし)
梓(これだけのCDコレクションを見たら疑いようがないはず)
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:24:02.80 ID:AnC3Vpea0
… … …
梓(この後は、今まで妄想していた両親とのライブ紀行を語ったりして)
梓(まさかこんなことに役立つとは、妄想もしとくもんだなぁ)
梓(ジャズの知識だってそこそこ自信あるからその合間合間で披露する)
梓(それで抜かりはないはず)
梓「すみません。慣れないもので少し時間がかかってしまって」
『あまぎぃぃぃぃぃぃ ごぉぉぉえぇぇぇぇぇぇ』
唯「あずにゃんおかえり~」
律「梓、この曲は?」
梓「ああ、天城越えですね。津軽海峡・冬景色と並ぶ石川さゆりの代表曲ですよ」
梓「1986年の第28回日本レコード大賞金賞受賞曲だったりします」
梓「ちなみに今聴かれてるのは新録音版ですね」
唯「へ~、さっすがあずにゃん!」
梓「えへへ。……って、えっ!?」
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:27:45.98 ID:AnC3Vpea0
梓「な、なんで演歌なんて聴いてるんですか……」
律「ああ、なんかこのCD棚動くみたいだったから、動かしたら裏にまだ沢山CDあってさ」
唯「そしたら、なんか演歌のCDいっぱい出てきてね」
梓「!?」
梓(し、知らなかった……不覚っ!)
律「梓には悪いけど、ジャズより演歌の方が面白そうかなって」
梓「は、はぁ……」
紬「でも、梓ちゃんのご両親はジャズバンドやっていらっしゃっるのにこれだけ演歌も好きなのね」
梓「じ、ジャズと演歌は意外と通ずるものがあるらしくて」
梓(自分で言っといてなんだけど、初耳だよ……)
唯「なるほど~、やっぱり音楽ってやつはどこかしらで繋がってるもんなんだね!」
梓「も、もちろんです!」
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:30:50.44 ID:AnC3Vpea0
澪「ところでさ、このジャズのCDなんだけど」
梓「は、はい! むしろそっちのことを聞いて下さい」
澪「なんだか◯×レンタルってシールが貼ってあるんだけど……」
梓「あ……」
梓(し、しまったー!!)
梓(ど、どうする!? いっそのこともう吐いちまうか!)
梓(いや……でも……)
梓「れ、レンタル落ちをいつも買ってましたので」
澪「そっか」
梓(持ち直した! ……のか?)
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:35:12.38 ID:AnC3Vpea0
唯「ねぇ、次これ聴いてみようよ」
律「ん~、どれどれ? 『桜が丘恋慕情』か」
梓「そ、それはっ!?」
紬「どうしたの?」
梓「い、いえ……」
梓(お母さんのCDだよ……)
澪「桜が丘って、もしかしてここのこと?」
唯「私もそう思ってね」
律「しかも第2章とか3章とかもあるな」
梓「えっ!?」
梓(それも初耳だっ!)
紬「章立てだなんて、なんだかロマンチックね」
梓(なんでもないようなことが幸せだったと思う……)
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:38:17.39 ID:AnC3Vpea0
紬「ねぇ、みんな。この『桜が丘恋慕情~最終章~』のジャケットなんだけど」
澪「ん? これって……」
律「なんかすっごい見覚えある人が写ってるな」
唯「あずにゃんの小さな頃じゃない?」
梓「!?」
梓(そういえば、小さな頃に両親と一緒にスタジオで写真を撮った記憶が)
梓(まさかそれがCDのジャケット撮影だったなんて!?)
梓(これは言い逃れ出来ない気がする……)
澪「梓、これはいったい?」
梓「あ、あはははは……」
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:42:37.59 ID:AnC3Vpea0
『~~~~~ ~~~~~~~~~~~~♪』
律「あれ? なんか外で曲流れてるな」
唯「本当だね、演歌かな?」
梓「……えっ?」
澪「近くで演芸大会でもやってるのか?」
梓「いえ、そんな催しは無いはずですけど」
紬「でも、なんだかどんどん近づいてくる気が」
梓「ま、まさか……!?」
『桜ぁぁぁが丘ぁぁああぁぁあぁ 恋慕情ぅぅぅうぅぅぅうぅぅうううぅぅぅ♪』
梓「か、帰ってきちゃった!?」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:44:50.78 ID:AnC3Vpea0
梓母「帰ってきたよ、帰ってきたよ」
梓母「帰ってきぃぃぃぃぃたぁぁよぉぉぉぉぉぉぉ」
梓「な、なんで……」
梓父「いや~旅館の予約を間違えて1週間後にしてしまってたみたいでな」
梓「……」
梓母「やっぱりね、そうだろね、しんどいね、未練だね」
梓父「まぁそう言うなよ。来週行けばいいんだから」
梓母「やだねったら、やだね」
梓父「悪かったって。機嫌直してくれよ」
梓「あ……あ……そんな……」
唯「えっと……あずにゃん?」
梓「はっ!?」
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:46:58.85 ID:AnC3Vpea0
梓父「おっ、梓のお友達か?」
律「こ、こんにちは……」
梓母「あら、いいおでこね」
梓父「おでこ? でこ……デコトラ!!」
律「!?」ビクッ!!
梓母「あんた、落ち着いて」
梓父「あ、ああ、すまん」
紬「あの~……もしかして梓ちゃんの」
梓父「娘がいつもお世話になってます」
澪「あ、いえ……こちらこそ」
梓(もう駄目だ……)
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:49:44.75 ID:AnC3Vpea0
唯「あれ? だけど、あずにゃんのお父さんお母さんは今海外に行ってるんじゃ」
梓「……」
澪「梓? いったいどういう……」
梓「……」
紬「梓ちゃんのことが心配になって帰ってきた……とか?」
梓「……」
律「けど……こう言っちゃなんだけど、ジャズバンドやってるって感じじゃないよな……」
梓「ふ、ふぇぇ……」
唯律澪紬「!?」
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:54:08.44 ID:AnC3Vpea0
梓「ごめんなさぁい……嘘ついてました……うぇぇぇぇぇん!」
唯「あ、あずにゃん!?」
律「嘘って……?」
梓「両親はジャズバンドなんてやってないんですぅ」
紬「じ、じゃあ……」
梓「お父さんはトラックの運転手で、お母さんは売れない演歌歌手やってただけですぅ」
澪「なんでそんな嘘を……」
梓「だって、ひっぐ……カッコ悪いし」
梓「それに、皆さんの親御さんのお仕事がとても立派だったから」
梓「だから、馬鹿にされると思って……ひっぐ……」
澪「だから、そんな嘘を……?」
梓「はい……ぐすっ……」
梓父母(こっちも泣きたい……)
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 01:58:54.85 ID:AnC3Vpea0
唯「そんな……」
梓「一目見て、とても楽しそうで、私も仲間に入りたくて」
梓「だから皆さんとなんとか張り合えるように、両親はジャズバンドやっているって」
梓「本当は高校に入ったらちゃんと嘘つかずにいこうって思ってたのに」
梓「だけど、小学校のころに馬鹿にされたトラウマがあって」
梓「どうしても、見栄を張りたくて。だから……」
澪「梓……」
梓「でも、こんな嘘をついちゃう私はもう退部ですよね……」
律「馬鹿だなぁ、梓は」
梓「……はい、馬鹿です」
律「そんなことで、大切な後輩を追い出すわけないだろ」
梓「……えっ?」
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:02:36.30 ID:AnC3Vpea0
律「梓は私たちの演奏を聴いて、一緒にやりたいって思ったんだろ?」
梓「……はい」
律「それも嘘か?」
梓「違います! 本当に、私はみなさんと一緒にやりたくて!」
律「だったら、何も退部させることなんてないよ」
梓「でも、私……」
律「例え、お父さんがダッサいトラック運転手でも」
梓父「だ、ダサい……」
律「例え、お母さんが売れない下手くそ演歌歌手をやっていたとしても」
梓母「へ、下手くそ……」
律「梓は梓だよ」
梓「……」
梓「はいっ!」
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:04:52.45 ID:AnC3Vpea0
澪「お、おい律」
律「ん? なに?」
澪「ダサいとか下手くそとかは余計じゃなかったのか?」
律「いや~、ちょっと勢いでさ」
梓父「うぉぉぉぉんおんおん!」
梓母「あぁぁぁぁんがあんあん!」
唯「大人のガチ泣き初めて見たよ……」
紬「あの……美味しいケーキ持ってきたので、食べます?」
澪「そんなことで……」
梓父「お嬢ちゃんすまないね」
梓母「いただきます」
澪「泣き止んだ」
梓「……」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:08:32.36 ID:AnC3Vpea0
梓「でも、言えてよかった」
梓「もし、ずっと嘘をつき続けなきゃいけないなんて
そんな苦しいこと、これから先どうしようって思ってました」
梓「みなさんが、優しくて。本当によかった」
梓「先輩方は親もとても立派ですし、尊敬しています!」
紬「梓ちゃん、ちょっといい?」
梓「なんです?」
澪「あのさ、そのことなんだけど」
律「私たちもさ、梓に言っておかなきゃいけないことがあって」
梓「?」
唯「あのね……私のお父さん本当はストロー作ってる人なの」
梓「……」
梓「はい?」
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:11:08.70 ID:AnC3Vpea0
梓「マエストロじゃなくて?」
唯「そう、マエストロじゃなくて」
梓「ストロー?」
唯「うん、ストロー作ってる工場に勤めてるの」
梓「え? え? シャレ?」
唯「嘘ついてて、ごめんなさい」
梓「……」
唯「まさか私たちがそんな嘘をついていたせいで、あずにゃんがそこまで苦しんでいたなんて
わからなかったとはいえ、本当にごめんね」
梓「私たちってことは……」
律「ああ、私の父ちゃんは調律師じゃなくて調理師だ」
梓「コックさん……ですか?」
律「いや、どっちかっていうと板前だな」
梓「は、はぁ……」
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:14:27.50 ID:AnC3Vpea0
律「たぶんピアノなんてちっとも触ったことないだろうな」
律「まぁ、いつも味のハーモニーは奏でてるけど」
澪「なに上手いこと言ってるんだよ」
律「そういう澪の親だって」
澪「わ、私のパパ……お父さんはちゃんと楽器造ってる楽器職人なんだからな!」
梓「ピアノをですか?」
澪「いや、私の親はミハルスをゴム紐で結んで繋ぎ合わせる簡単なお仕事をしている」
梓「ミハルス?」
律「カッコつけずにカスタネットって言えよ」
唯「そうだよ澪ちゃん、逆にカッコ悪いよ……」
澪「くっ……」
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:16:19.85 ID:Akict5fx0
みんなそれで家計は大丈夫なのかww
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:17:32.45 ID:AnC3Vpea0
梓「幼稚園の頃とかに使ってたあの赤と青のカスタネットですか?」
澪「うん、もう二十数年間ひたすらカスタネットを繋ぎ合わせているんだ」
梓「そ、そうなんですか……」
澪「梓が幼稚園の頃に使っていたカスタネットも私の親が繋ぎ合わせたものかもしれない」
梓「わ、わ~、すご~い……」
律「だけど、ピアノと比べると遥かに劣るけどな」
澪「か、カスタネットだけじゃないぞ!」
澪「トライアングルの吊り紐を通したり」
澪「それにリコーダーを合体させるお仕事だってたまにしてるんだからなっ!」
梓「でも、それで楽器職人を名乗るのもどうかと……」
澪「うっ……」
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:20:20.06 ID:AnC3Vpea0
梓「あ、だったらムギ先輩も……」
紬「ごめんね、梓ちゃん」
梓「やっぱりお金持ちって言うのは……」
紬「あの時はただの金持ちって言ったけど」
紬「本当は超金持ちなのっ!!」
紬「若干謙虚になってごめんね!」
梓「ちくしょう」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:24:38.07 ID:AnC3Vpea0
梓「でも、なんでそんな嘘なんか……」
澪「それは、きっと梓と同じ理由だよ」
梓「私と?」
律「私たちの初めての後輩だしさ」
唯「私たちあまりしっかりしてないし」
紬「それに、梓ちゃんが来ていきなりギターで凄い演奏したでしょ」
梓「そういえば」
律「だから本当にこんな私たちと一緒にやってくれるのか不安になっちゃってさ」
澪「あの日梓が帰った後でみんなと話し合ったんだ」
紬「このままじゃ、私たちに幻滅しちゃうかもって」
唯「だったら、あずにゃんの演奏に負けないくらい大きな見栄を張ろう! って」
梓「た、確かに一緒ですね……」
155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:28:37.39 ID:AnC3Vpea0
澪「最後までどうしようか迷ってたんだけど」
律「そしたら、親がジャズバンドやっているなんて言うしさ」
唯「だから、もうやるっきゃない! って」
梓「それでマエストロ」
唯「一生懸命考えた結果なんだよ……」
梓「調律師」
律「名前っていうしっくりくる理由があったからな……」
梓「ベーゼンドルファー」
澪「わ、忘れてくれ……」
梓「ただの金持ち」
紬「は、恥ずかしいっ////」
梓「……」
159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:33:10.04 ID:AnC3Vpea0
梓「ふふっ」
唯「ああ~、あずにゃん笑うなんて酷いよ」
律「梓ほどじゃないかもしれないけどさ、結構罪悪感あったんだぞ」
梓「いえ、そうじゃなくって、私も結局収まるところに収まったのかなって」
澪「そうかもな」
紬「似たもの同士かもね」
梓「相性バッチリかもしれませんね」
梓父「あ、ケーキおかわり」
梓母「んんんすんごぉぉくぅぅぅ おいしいぃぃぃぃっ」
紬「はぁ~い、ただいま~」
梓「……」
162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:37:30.48 ID:AnC3Vpea0
律「はぁ~、でもこれでやっと嘘つかなくてもいいんだな」
澪「ホント、いつバレるか冷々ものだったよ」
唯「私なんてクラシックのCD買っちゃったよ
ちょっとでも聴いてクラシック慣れするために」
律「で、どうだった?」
唯「すごくよく眠れるんだよね」
澪「全然聴いてないってことだな」
梓「私も、こんなにCD借りちゃったし……」
澪「やっぱり借りたんだ……」
紬「でも、この◯×レンタルってウチの系列のお店だから
話せばなんとかなるかもしれないわ」
梓「琴吹家の息のかかってないお店ってこの街にあるんですか?」
紬「うふふ」
梓「なんだか怖い」
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:39:52.46 ID:AnC3Vpea0
律「何はともあれ、今後もよろしくな梓」
梓「はい!」
紬「楽しい部活にしましょうね」
唯「ムギちゃんがいればどこでも楽しい部活になるよ、きっと」
梓「それってお茶したいがためでしょ」
唯「ち、ちゃんと練習もするもん」
梓「本当ですかぁ~?」
澪「まぁ、そういう時間も必要だってことだよ」
梓「それは……確かに魅力の一つではあります」
紬「じゃあ、今度梓ちゃんの好きなもの持ってくるわ」
唯「あ、いいなぁ」
律「練習もしてお茶もする、それが私たち軽音部だ!」
梓(やっと、やっとこれからが私の本当の高校生活のスタートなんだ!)
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/20(土) 02:43:16.97 ID:AnC3Vpea0
ジャズ研にて…
ジャズ研部員「はぁ……」
純「どうしたんですか? 先輩」
ジャズ研部員「なんか最近いまいち伸び悩んでるっていうか」
純「これだけ練習してるのに、ですか?」
ジャズ研部員「やっぱりもっとジャズに精通した人に習わないと駄目なのかしら」
純「あ、そうだ! 私のクラスに親がジャズバンドやっているって子がいますよ!」
純「中学で一緒だったって子に聞いたんです」
ジャズ研部員「だったら、なんでその子ジャズ研に入ってないの?」
純「なんでも不抜けた軽音部に喝を入れるためだって、新勧ライブの演奏聴いて
これは私がなんとかしなきゃいけないって思ったらしいです」
ジャズ研部員「なんだか珍しいくらい殊勝な子なのね」
純「今度連れてきますね!」
おしまい
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