唯「ゲッターロボ!」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 19:56:41.23 ID:Hf8Bp6290
原作版ゲッターロボとけいおんのクロスです。
注意点
時期は唯たちけいおん組は高校一年生。ゲッターロボは、恐竜帝国との戦い終盤で武蔵が自爆してから約半年後。
原作ゲッターでは、この時期はすでに百鬼帝国が登場しており、人類・恐竜・百鬼の三つ巴の戦いとなっていますが、このssでは百鬼は存在しないものとします。
ゲッター組の性格は原作序盤とそれ以降を足して2で割った感じに。それに若干アレンジを加えている事をお断りしておきます。
主人公は唯ですが、話のメインはゲッター路線。
「けいおんでやる必要があるの?」の最たる内容ですが、自分がけいおんとゲッターが好きと言う理由のみでクロスさせて見ました。
ノンビリいきますが、よろしければお付き合いください。
なお、あえて厨二テイスト全開にしましたので、その手のが苦手な方はご注意ください。
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 19:57:58.15 ID:Hf8Bp6290
・・
・・
唯 「何かをしなくちゃいけない気がするんだけど・・・」
唯 「いったい、何をすればいいんだろう」
・・
・・
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:01:17.58 ID:Hf8Bp6290
君はゲッターロボを知っているか!?
現代。
人類は突如襲来した恐竜帝国の魔の手の前に、絶滅の危機に瀕していた。
恐竜から進化した彼ら恐竜帝国は、かつて地上の王者として君臨していた栄光をもう一度我が手にしようとたくらんでいるのだ!
圧倒的な恐竜帝国の科学力!そして、驚異的な生命力の前に人類の命運は風前の灯かに見えた。
だが!
しかし!
救いの手は伸べられた!
救いとは何だ!?スーパーロボットだ!!
竜馬 「いくぜ野郎ども!トカゲ野郎を血祭りに上げてやる!」
隼人 「落ち着けリョウ。獲物は逃げやしねぇ。じっくり料理してやるさ」
武蔵 「うおおお!御託はいい!とっとと片付けるぜ!!」
若い命をまっ赤に燃やす若者たちが駆る三機のマシン。
イーグル号・ジャガー号・ベアー号が合体した時、無敵のスーパーロボットは誕生する!
救いを求める者は、彼らの名を呼べ!
その名を高らかに呼べ!!
竜馬 「チェエエエンジ!ゲッター1!!スイッチオンっ!!!」
ゲッターロボ!!
無敵の戦士 ゲッターロボの名を!!!
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:04:11.42 ID:Hf8Bp6290
・・
・・
唯・・・唯ちゃん・・・
唯 「誰・・・?私を呼ぶのは、いったい誰なの?」
唯ちゃん。
私は唯ちゃんの中で、唯ちゃんとずっと一緒にいた者だよ。
唯 「私と一緒にいた・・・?」
唯 「そういえば、何だか懐かしい声・・・とても聞き覚えがあるような・・・」
唯 「憂・・・?ううん、もっと近い・・・ね、いつから私と一緒にいたの?」
唯ちゃんが生まれてから今までずっと。そして、これより先も。
私は唯ちゃんを守ってきたし、守ってゆくんだ。
唯 「私をずっと守ってくれていた・・・?」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:07:53.08 ID:Hf8Bp6290
気をつけて。
これから唯ちゃんには試練の時が訪れるから。
私はそれを知らせるために、こうして唯ちゃんに語りかけているの。
唯 「試練・・・?試練っていったい何?なにが起こるっていうの??」
戦い・・・
唯 「戦い・・・!?」
そう。
唯ちゃんはこれから、多くの戦いの渦中に身を晒すことになるんだ。
そして、たくさんの血と涙をも流す事になると思う。
唯 「なにそれ・・・こ、怖いよ・・・そんなの、よく分からないけど、私、嫌だよ・・・」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:09:24.18 ID:Hf8Bp6290
でもね、唯ちゃんは大丈夫なんだよ。
だってね、私がいるもの。
私が守ってあげる。全てを焼き尽くそうとする、地獄の業火から唯ちゃんを。
唯 「・・・あ、暖かい。あなたと話していると、なんだかとっても心の中がホンワリする。気持ちがいい・・・」
唯 「ね・・・あなたはいったい誰なの?」
私は。
私の名はね・・・
・・
・・
唯・・・唯・・・
起きろって・・・唯ー・・・
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:11:28.91 ID:Hf8Bp6290
律 「唯ってば!」
唯 「はっ!?」
澪 「お、やっと起きた」
紬 「ずいぶんグッスリ眠ってたわね」
澪 「おやつを食べ終わったら、すぐ寝ちゃうんだものな。牛さんになっちゃうぞ?」
律 「おいおい、澪はずいぶん古風だなー」
唯 「あぅ・・・こ、ここは・・・」
律 「なんだ、まだ寝ぼけてるのか?ここは音楽室。私たち、軽音部の部室だろう?」
唯 「あ・・・そ、そか・・・へへ、うっかりうっかり」
あははは♪
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:13:49.32 ID:Hf8Bp6290
唯 「・・・」
律 「ん・・・?どうした??」
唯 「夢・・・見てた・・・」
澪 「のんきな奴だなぁ。で、どんな夢を見ていたんだ?」
唯 「それが・・・漠然としすぎてて、自分でもよく分からないんだけど・・・」
律 「なんだそりゃー」
唯 「ただ・・・なにかとっても懐かしい誰か。その誰かが私に語りかけてくるの。でも、あれはいったい誰だったんだろう・・・」
律 「ふーん。で、そいつは何だって?」
唯 「・・・」
澪 「ん??」
唯 「私がたくさんの血と涙を流すって・・・」
紬 「っ!」
律 「おいおい。なんだそれ、ずいぶん物騒な夢だな。唯が見る夢らしくもない」
唯 「だよね。我ながら、私もそう思うよー」
紬 「・・・」
律 「ん?ムギ、どうかしたのか?」
紬 「あ、ううん。なんでもないの」
律 「・・・?」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:16:40.50 ID:Hf8Bp6290
澪 「地獄って言えばさ・・・恐竜帝国だよ」
律 「・・・そうだな」
澪 「恐竜帝国にさ。襲われた地域の惨状、まさに地獄みたいだったって話、聞くよね」
律 「ああ。ここら辺は無事だったけど・・・でも、犠牲になった人の事を考えたら、良かったなんて口が裂けても言えないよな」
唯 「そうだよね。で、でもさ!確か恐竜帝国って、ゲッターロボがやっつけちゃったんでしょ?」
澪 「ああ、半年くらい前だったよな」
紬 「恐竜帝国と刺し違えて・・・ね」
唯 「・・・」
律 「その時、ゲッターのパイロットも一人、犠牲になったって」
澪 「確か私たちとそう変わらない年だったらしいよ」
唯 「かわいそうだよね・・・」
紬 「・・・そうね」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:21:42.28 ID:Hf8Bp6290
律 「よし、暗い話題はここまでだ!せっかくゲッターロボが守ってくれた平和だ。謳歌させてもらわなきゃ罰が当たるってもんだぜ!」
澪 「そう・・・そうだよな」
律 「てことで、私たちの平和には甘い物が不可欠だろ♪帰りにアイスでも食べていかないか?」
澪 「お前はただ、食べたいだけじゃないのか」
律 「ばれたか!」
唯 「あはは」
澪 「甘い物はともかく、まだ帰るには早いだろ?もう何曲か合わせようよ」
律 「えー・・・疲れたし、もう良いじゃん。それよか早く、甘い物甘い物~!」
澪 「アリさんか、お前は・・・」
紬 「まぁまぁ。練習し疲れた後のほうが、きっとアイスも美味しいわ」
唯 「それは一理あるよね!じゃあ、美味しいアイスのために!がんばって練習しようよ!」
律 「そういうことなら仕方がない!んじゃ、アイスのために!」
紬 「アイスのためにー!」
澪 「なんだか趣旨が違ってきてる・・・」
あはははっ!
唯 (楽しいな。みんなとの部活におしゃべり。お菓子を食べたり、そんな他愛ない毎日)
唯 (こんな日がずっとずっと。いつまでも続くと良いのになぁ)
唯 (そのためには私、何かをしなくちゃいけない気がするんだけど・・・)
唯 (いったい何をすれば良いんだろう・・・)
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:25:56.30 ID:Hf8Bp6290
・・
・・
律 「よっしゃ!終った終ったー!さ、念願のアイスだぜ。早く行くぞー」
唯 「・・・あっ!」
紬 「どうしたの、唯ちゃん」
唯 「そうだ、そうだ。部活終ったら来てって、和ちゃんに呼ばれてたんだった・・・」
紬 「え・・・」
澪 「今から生徒会室に行くのか?もう、下校時間になっちゃうぞ?」
律 「えー、アイスはー?」
唯 「うう、アイスー・・・でも、和ちゃんとも約束だったし、ちゃちゃっと行って来るよ・・・」
唯 「みんなは先に帰っててー、アイスはまた今度いっしょに行こうね!」テッテッテ
律 「あ、ああ。じゃあなー」
紬 「・・・」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:28:44.94 ID:Hf8Bp6290
廊下!
唯 「あーあ、アイスぅ・・・まぁ、仕方がないよね・・・でも、食べたかったなぁ~・・・」
? 「ちょっと君」
唯 「はい?」
? 「ちょっと場所を尋ねたいのだが、いいかな?」
唯 「はい・・・(あれ、男の人が二人・・・?どうして男子生徒がいるんだろう・・・)」
? 「僕たちは浅間学園から生徒会交流で来たものなんだけど、この学校の生徒会室はどちらかな?」
唯 「あ、えとえと・・・私も今から行くところだから、良かったら案内しますよー」
? 「それは助かる。お願いしようかな。行くぞ、リョウ」
? 「ああ・・・わかったぜ隼人」
唯 (片方は細身で知的そうだけど、もう一人はなんだか無口でいかつくて怖い感じ・・・)
隼人 「では、よろしく」
唯 「あ、うん。こ、こっちですー」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:32:55.48 ID:Hf8Bp6290
生徒会室!
がらっ
唯 「和ちゃん」
和 「あら、唯。ずいぶん遅かったのね。待ちくたびれたわよ」
唯 「ごめんごめん、部活が長引いちゃいまして・・・あ、それと。こちら・・・」
竜馬 「・・・」
隼人 「・・・」
和 「そちらの人は・・・?」
唯 「生徒会交流だかで来た人だよ。廊下で道を聞かれたんで、つれてきたの」
和 「生徒会交流?そんな話は聞いてないけど」
唯 「え・・・?」
隼人 「ふ・・・うまく化けたものだな」
和 「・・・なんのこと?」
隼人 「おまけにとぼけるのまで上手いと来てる。お前が俺たちの顔を知らないはずはないのだがな」
和 「・・・」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:35:39.66 ID:Hf8Bp6290
唯 「え?え?あの・・・なに?」
竜馬 「どいてろ」ズイ
唯 「きゃっ」
竜馬 「まどろっこしいのは無しだ、トカゲ野郎。とっととテメェをのして、化けの皮をひん剥いてやる」
和 「・・・く」
竜馬 「おらぁ!」ばきっ
和 「きゃぁ!」
唯 「きゃーーーっ!!??」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:36:59.76 ID:Hf8Bp6290
どかっ!どかっ!どかっ!
唯 「あ、あわわわ・・・た、助けを・・・だ、誰か呼んでこなくちゃ・・・」あわあわ
隼人 「待ちな」
唯 「ひっ!」
隼人 「悪いが巻き込まれたのを不運と諦めて、ここで大人しくしていてもらおうか。騒ぎを大きくすると、色々やっかいなんでね」
唯 「な、なんなの・・・いったい何なの・・・」
隼人 「見ていれば分かる」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:46:24.02 ID:Hf8Bp6290
どかっ!どかっ!どかっ!
和 「ひ・・・ぐ・・・あぁ・・・」
竜馬 「おらおら、どうした?このまま無抵抗でやられちまうつもりか!?」
唯 「あ・・・あ・・・」
和 「・・・」ひくひく
唯 「あ・・・!」
竜馬 「なら、望み通りにしてやるぜ。死ねっ!!」
唯 「やめてーーーっ!」ばっ
隼人 「あ、待て・・・!!」
どかぁっ
唯 「きゃああっ!」
がらがらがっしゃーん!!
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:49:16.53 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「・・・!しまった!」
隼人 「・・・」
竜馬 「隼人!なんできちんと抑えておかねぇ!女の子に渾身の突きを食らわしちまったじゃねぇか!」
隼人 「いや、俺はきちんと抑えていた。それを振り切っての、あの反応速度・・・」
竜馬 「隼人がついていけなかったってのか?」
ゆら・・・
唯 「・・・」
隼人 「バカな・・・」
竜馬 「嘘だろ・・・無傷だぜ・・・」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:53:27.64 ID:Hf8Bp6290
唯 「・・・ちゃん・・・を・・・」
竜馬 「・・・!」
唯 「和ちゃんを虐めるなぁっ!」
ぎゅんっ!!
竜馬 「うおっ!」
唯 「和ちゃんを!」どかっ!
唯 「虐めるっ!」どかっ!
唯 「なあああああああ!」どかどかどかっ!
竜馬 「うお!くそ!なんだ!」
隼人 「リョウが・・・あのリョウが少女に圧されている・・・」
竜馬 「この突きの重さ、速さ!とても女子高生の出せるシロモノじゃねぇ!まさかこいつもトカゲ野郎なのか・・・」
ぴぴぴぴぴ・・・
隼人 「・・・ん?」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:56:43.38 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「だったら容赦しねぇぞ!まとめてぶっ殺してや
唯 「うああああっ!」どかっ!
竜馬 「追撃だと!?かわしきれねぇ・・・!!」
唯 「ああっ!ああああっ!!」どがどがどかっ!
竜馬 「俺の動きを読んで先回りを・・・何者なんだ、こいつぁ!!!??」
唯 「のどかっ!和ちゃん!!」どがぁ!
竜馬 「ぬぉっ!!」ずざぁ!!
唯 「はーっ・・・はーっ・・・」
竜馬 「ぐ・・・この俺が一発もらっちまうとは・・・な。だが、次はねぇぞ!」
隼人 「そこまでだ、リョウ!」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:00:10.31 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「あ・・・?」
隼人 「早まるな。どうやら、その娘らしい」
竜馬 「なにがだよ!?」
隼人 「俺たちが探している人物だよ。これを見てみろ」
ぴぴぴぴぴ・・・
隼人 「その娘から、常人から発せられる数倍のゲッター値が計測されている」
竜馬 「そいつは早乙女のじじいが持たせた、携帯用のゲッター線計測装置・・・てことは・・・」
隼人 「そうだ。俺たちと共に、地獄を見ることになる娘だ」
竜馬 「こいつが・・・」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:03:47.95 ID:Hf8Bp6290
唯 「はぁはぁ・・・」
隼人 「・・・おい、お前。名前はなんていう?」
唯 「の、和ちゃんを虐めるなっ」
隼人 「和ちゃん・・・か。いいか、落ち着け。そして良く見ろ。そこで倒れているのは、お前の友達なのか?」
唯 「え・・・何を言って・・・」
和 「う・・・うう・・・」
唯 「はっ!和ちゃん、だいじょうぶ!?」
隼人 「あぶねぇ、不用意に近づくな!!」
がっ!!
唯 「あぐっ!?」
和 「ふ・・・とんだ番狂わせだ。まさかゲッターチームが、この娘をかぎつけてここまで来るとはな」
唯 「首が・・・く、苦しい・・・和ちゃん、どうして・・・あっ!?」
和 「ふ、ふふふ」
唯 「か、顔の皮がはがれて、中から鱗みたいなのが・・・」
隼人 「そうだ!目の前にいるのは、お前の友達なんかじゃねぇ。そいつは俺たちの・・・人類の敵・・・」
隼人 「恐竜帝国だ!!」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:11:33.27 ID:Hf8Bp6290
・・
・・
恐竜帝国!
彼らはゲッターロボに倒された!
・・・はずであった。
今より半年前。
ゲッター1のパイロット、流竜馬は恐竜帝国との戦いで一時的に記憶をなくしていた。
ゲッターは三人のパイロットが乗り込んで、初めてその力を如何なく発揮できる。
しかし、記憶を失った竜馬は、ゲッターの操縦法をも忘れてしまっていたのだ!
この危機を見透かすように、恐竜帝国はメカザウルスの大軍を戦線に投入!
戦う術を失ったゲッターチームを押しつぶそうと、一気呵成に攻め寄せてきたのだ!
危うしゲッター!もはや打つ手は残されていないのか?!
いや、たった一つ、彼らには最後の武器が残されていた。
それは命!
残された命こそが、最大にして最後の武器なのだ!!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:13:50.21 ID:Hf8Bp6290
ゲッター3のパイロット 巴武蔵は単身ゲッターロボに乗り込むと、敵陣へと突入しゲッターの炉心を暴走させた!
武蔵 「これが貴様らのもっとも恐ろしがっていた、ゲッターエネルギータンクだ!」
武蔵 「貴様らの先祖は光線で死んでいったんだ。ここでもう一度、ゲッター光線で滅ぶんだ、ト、トカゲ野郎・・・」
武蔵 「さらば、リョウ、隼人。後の事は頼むよ」
武蔵の最後の言葉を合図としたかのように、爆音と共に光の中へと消えてゆくゲッターロボ。
そう、武蔵は己の命と引き換えに多くのメカザウルスを道連れにして、ゲッターを自爆させたのだ!!
竜馬 「武蔵!武蔵ーっ!!!」
竜馬 「俺が・・・俺が・・・記憶さえはっきりしていれば・・・お前を殺さずに・・・」
竜馬 「武蔵!!許せ!!ううっ・・・!」
ゲッターロボと巴武蔵というあまりにも大きな犠牲を代償に、この戦いには勝つ事ができた!!
だが、しかし。
奴らはまだ、滅びてはいなかった・・・
・・
・・
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:19:49.61 ID:Hf8Bp6290
唯 「きょ、きょうりゅう・・・」
和(偽)「動くなよ。少しでも変な動きを見せたら、その細首を搔っ切ってやる」
唯 「ひっ!あわわわ・・・」
和(偽)「お前らもだ、ゲッターチーム。さぁ、道を開けろ」
隼人 「待て、その娘をどうするつもりだ」
和(偽)「我が帝国に連れ帰らせてもらう」
隼人 「なんだと!?」
和(偽)「その後の事は、貴様らには与り知らぬことだ。ふ、本来ならもっと穏便に事を収めるつもりだったのだがな」
和(偽)「さぁどけ!俺はこの娘の体さえ手に入れば、手足の無い姿にしても構わないのだぞ!?」
竜馬 「・・・ぐっ」
唯 「ま、待って」
和(偽)「ん?」
唯 「和ちゃんは・・・本当の和ちゃんはどうしたの?いったいどこに行っちゃったの?」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:26:12.96 ID:Hf8Bp6290
和(偽)「さてな。今頃は、俺の仲間の腹の中にでも納まっているんじゃないか。くはははははっ!」
唯 「・・・え」
和(偽)「俺と入れ替わる際に拉致し、後の処理は仲間に任せてある。骨だけでも残っていれば、帝国に戻った後でお前にくれてやってもいいぞ」
唯 「嘘、嘘だ。和ちゃんが・・・そんな・・・」
竜馬 「・・・下衆め」ぎりっ
隼人 「よせ、リョウ。あの娘を失うわけにはいかん。ここは奴の隙を見つけるまで堪えるんだ」
竜馬 「くそ・・・」
唯 「和ちゃん・・・のどか・・・」
ぴっぴっぴ・・・
隼人 「・・・ん?」
ぴっぴっぴっぴ・・・
隼人 「ゲッター線計測装置が・・・なんだこれは!?この部屋のゲッター値がみるみる上がって・・・」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:32:36.06 ID:Hf8Bp6290
唯 「・・・さない」
隼人 「違う!この娘だ!彼女が発するゲッター値が・・・バカな・・・ありえない・・・」
竜馬 「いったい、どうしたって言うんだ!」
隼人 「ゲッターロボの炉とほぼ同じ数値が、彼女の体から発せられている!」
竜馬 「なにぃ!?」
唯 「許さない・・・」
和(偽)「ぐ・・・ぐああああああっ!な、なんだこれは・・・ゲッター・・・ゲッター線・・・!!」
竜馬 「ここから出るぞ!このままじゃ被爆してしまう!」
隼人 「ダメだ!間に合わん!!」
唯 「許さないーっ!!」かっ!!
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:39:47.88 ID:Hf8Bp6290
和(偽)「ぐああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
竜馬 「うおおおお!?」
隼人 「うわあああ!!」
和(偽)「あああ・・・か、体が溶けてゆく・・・」
唯 「和ちゃんを!和ちゃんを返せええええっ!!!」
和(偽)「ぐぐ・・・俺が・・・崩れていく・・・」どさっ
唯 「ああ・・・!ああ・・・!」
唯 「あああああああああああああああああああああああっ!!!」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:59:07.55 ID:Hf8Bp6290
・・
・・
隼人!隼人!しっかりしろ!
隼人 「・・・う、りょ、リョウ・・・」
竜馬 「隼人!良かった。お前も無事だったんだな」
隼人 「無事・・・?そうか、俺たちは大量のゲッター線を浴びで・・・はっ!そうだ、トカゲ野郎は?娘はどうなった?!」
竜馬 「気を失ってはいるが、彼女なら無事だ。それに、俺たちもな」
隼人 「あれだけのゲッター線を浴びて、無事だと・・・?恐竜帝国は?」
竜馬 「あっちの方はお陀仏だ。跡形も無く溶けちまって、骨すら残ってない」
隼人 「バカな。トカゲ野郎が溶けるほどの線量を浴びて、俺たちは無事だというのか?いくら人間のほうが、ゲッター線に耐性が強いとは言え・・・」
? 「それが・・・ゲッターの意志だとしたら・・・?」
竜馬 「だ、誰だ!?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 22:01:40.26 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「だ、誰だ!?」
紬 「・・・」
竜馬 「なんだ、お前は・・・」
隼人 「お嬢・・・」
紬 「お久しぶりです、神隼人。それに、はじめましてね。流竜馬」
竜馬 「おい、誰なんだ・・・?」
隼人 「琴吹紬・・・」
竜馬 「琴吹・・・琴吹財閥のあの琴吹か」
隼人 「そうだ。俺たちの新たな協力者・・・いや、パトロンと言ってもいい。そこのお嬢さんだ」
紬 「・・・」
隼人 「なぜあんたがここに・・・?」
紬 「だって私、ここ桜ヶ丘高校の生徒なんですもの」
隼人 「なっ・・・!?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 22:04:39.41 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「・・・そんなの俺の知った事じゃねぇ。おい、あんた。さっきゲッターの意志がどうとか言ってたな?」
紬 「ええ」
竜馬 「そりゃどういうこった?説明してもらおうか」
紬 「今の出来事も、彼女の不思議な力も。その力が敵だけを滅ぼして、あなた方が無事だったのも・・・」
紬 「さらに言えば、彼女がここにいるのも。そして、私が彼女の側に存在しているのも・・・」
紬 「私はすべて、ゲッターの意志のなせる業だと考えているの」
隼人 「・・・ゲッター線がトカゲ野郎のみを敵と認識し、俺たちを生かすと判断した結果だとでも・・・?」
竜馬 「なんだと?まったく意味がわからねぇ・・・ゲッター線に、エネルギーに心があるとでも言いたいのか?」
紬 「その通りです」
答えて琴吹紬は謎めいた笑みを、その美貌の上に浮かべた!
彼女はいったい、何を知っているのか!?ゲッターの意志とははたして!?
そして、平沢唯の発した不可思議な力の正体と、その彼女を連れ去ろうとした恐竜帝国の目論見とは一体なんだったのか!?
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 22:07:22.93 ID:Hf8Bp6290
次回へ続く!
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 22:34:19.85 ID:vuKRK7Nl0
ラスト予想
1.儒生歴年表を羅列して完
2.全部終わったと思ったらラスボス登場して完
3.新たな力を得て「さあ、ゆくぞ!」完
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 22:35:13.33 ID:vuKRK7Nl0
ラスト予想
1.儒生歴年表を羅列して完
2.全部終わったと思ったらラスボス登場して完
3.新たな力を得て「さあ、ゆくぞ!」完
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) [saga sage]:2011/11/05(土) 22:36:55.91 ID:MnFX5WJX0
乙!
こりゃ軽音部じゃなくハチュウ人類みな殺し部に入るな
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 23:56:51.02 ID:xY0cRsNSO
よく分からんが頑張れ
ただ、>>1にあるみたいに
「けいおんでやる必要があるの?」とは思うが……
多分、終わる頃にはキャラの原型すら留めてない、オリキャラになると予想する
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/06(日) 02:47:10.66 ID:33p82tBAO
何だ武蔵以外は生存してんのか、寂しくないように2人とも一緒に逝けばよかったのに
どうせならコクピットけいおんで埋めてほしかったわ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 12:56:18.84 ID:AB6779000
再開!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 12:59:32.80 ID:AB6779000
・・
・・
唯・・・唯ちゃん・・・
唯 「あなたは・・・」
怖かったよね。でも、もう大丈夫だよ。
唯 「だ、大丈夫って・・・ね、ねぇ・・・!」
唯 「あれが、あんなのがあなたの言っていた”戦い”なの?」
うん、そう。だけどまだ、さっきのは戦いの始まり。まだ序章に過ぎないんだよ。
唯 「じゃ、じゃあ・・・私、もっとひどい目に遭うの・・・?ううん、私のことより・・・」
唯 「和ちゃん・・・和ちゃんが・・・」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:03:50.97 ID:AB6779000
私、言ったよ。私は唯ちゃんを護ると。
唯ちゃんの命はもちろん、その心をも含めて。
唯 「え・・・」
目を覚まして、唯ちゃん。
そして安心して欲しいな。
唯 「え・・・あ・・・待って!ねぇ、名前は!?あなたの名前、まだ聞いてない!」
私の名は・・・
・・
・・
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:08:36.44 ID:AB6779000
唯 「・・・」ぱちくり
唯 「ここ・・・は・・・?」
唯 「知らない天井だ・・・なんちて」
竜馬 「目ぇ覚めたか?」
唯 「あ・・・さっきの怖い人・・・」
竜馬 「ふ、頭のほうはハッキリしているようだな。自己紹介がまだだったな。俺の名前は竜馬。流竜馬ってんだ」
唯 「あ・・・え・・・えっと・・・唯です。平沢唯・・・」
竜馬 「よし、平沢唯。医者の見立てではどこにも異常なしって事だが、どうだ?痛いところとかは無いか?」
唯 「う、ううん。平気」
竜馬 「そりゃけっこう」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:13:06.75 ID:AB6779000
唯 「え、えと・・・あの、ここは?」
竜馬 「早乙女研究所の医務室だ」
唯 「早乙女研究所って、聞いた事があるよ。確か、ゲッターロボの基地でもあるってテレビで言ってた」
竜馬 「そう、よく知ってるな」
唯 「どうしてそんなところに私が・・・?」
竜馬 「あんな事があった後ではな、普通の医者に診せるより、専門家のいるここの方が安心だと思って連れてきた」
唯 「連れてきたって・・・あなたはいったい何なの・・・?」
竜馬 「俺はこの研究所に籍を置いて、ゲッターロボのパイロットをしている」
唯 「え、ええ!?」
竜馬 「学校で一緒にいた神隼人も同輩だ」
唯 「そんな人がどうして・・・」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:18:46.71 ID:AB6779000
竜馬 「・・・さっきの。学校での出来事だが。どこまで覚えている?」
唯 「・・・」
竜馬 「言ってみろ」
唯 「和ちゃんの偽者に捕まって。そいで、和ちゃんはもう死んじゃってるって聞かされて・・・」
唯 「うう・・・」ぽろぽろ
竜馬 「・・・その後のことは?」
唯 「あと・・・?ううん・・・そういえば、あいつは?和ちゃんの偽者はどうなったの?」
竜馬 「死んだよ。お前が倒した」
唯 「へ・・・?何を言って・・・」
竜馬 「聞いたとおりだ。お前が友達の偽者を倒した。身体から多量のゲッター線を放出してな」
唯 「げったー・・・せん・・・?い、意味が分からないよ」
竜馬 「それはこっちもご同様だ。そんな真似ができる人間がいるなんて、聞いた事もねぇ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:30:33.13 ID:AB6779000
唯 「・・・」
竜馬 「そんな不安そうな顔をするなよ・・・」
唯 「う~~~・・・」
竜馬 「そ、そしてすぐ泣く。ああ、もう。これだから女って奴は・・・ええと、そうだな・・・」
竜馬 「お、おい。廊下の!もう入ってきて良いぞ」
唯 「・・・?」
がらっ
? 「唯・・・」
唯 「!!!!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:34:55.20 ID:AB6779000
・・
・・
流竜馬が馴れない女の涙に脂汗を流しているころ。
同じ早乙女研究所内の会議室にて、三人の人物が顔を合わせていた!
一人はゲッター線研究の世界的権威であり、ゲッターロボの生みの親 早乙女博士。
その傍らには寄り添うように神隼人が立っている。
そして、テーブルを挟んだ彼らの向かいに座しているのは、果たして!
唯の友達にして軽音部の仲間でもある、琴吹紬その人であった!
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:40:46.85 ID:AB6779000
早乙女 「今日はご足労いただいて恐縮でしたな、紬お嬢さん」
紬 「いいえ、こちらこそ私の友達の治療に尽力くださって、感謝いています」
早乙女 「別に慈善事業というわけではない。彼女は私にとっても保護するに値する存在ですからな」
紬 「モルモットとして・・・?」
早乙女 「場合によっては」
紬 「・・・」
隼人 「・・・お嬢。あんたには早乙女博士に不信感を抱く権利なんか、無いんでないですかね」
紬 「どういうことでしょう?」
隼人 「あんた、平沢唯の資質について事前に調べがついていて、それで彼女と同じ学校に入学したんだろう?」
隼人 「監視のためか保護のためかしらねぇが、半年も無為に過ごしたわけを聞きたい」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:53:42.61 ID:AB6779000
早乙女 「よさんか、隼人」
隼人 「いや、言わせてもらうぜ。もっと早く彼女の事を教えてくれていれば、今日のようなゴタゴタも防げたかも知れねぇんだからな」
隼人 「今回の事は、お嬢に責任がある。そんなあんたが博士のやりように、どうこう言う資格なんざねぇのさ」
紬 「なにか、誤解されているようですね」
隼人 「なにが誤解だ」
紬 「唯ちゃん・・・平沢唯にあのような力があるのを知ったのは、つい先日のことです」
隼人 「ふっ。なにをバカな」
紬 「本当よ。早乙女博士が実用化されたポータブルタイプのゲッター線計測装置。これを送っていただいてからです」
隼人 「・・・」
紬 「ゲッター線の扱いや解析は一般化されていない技術分野。琴吹の側で独自に”パイロット”を探すなど、できるはずがないではありませんか」
早乙女 「お嬢さんのおっしゃるとおりだ」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:07:40.78 ID:AB6779000
紬 「さらに言わせてもらえば、そちらだって和ちゃん・・・真鍋和が偽者と摩り替わっている事を、こちらに知らせてはくれなかったじゃないですか」
隼人 「お前さんが、まさか同じ学校に在籍しているとは、露程にも思わなかったからだ」
紬 「別に私は身元を隠していたわけじゃなし。調べればすぐに分かる事です」
紬 「私に事前に話を通してくれていれば、唯ちゃんの身を危険に晒す事も無かったかもしれないのに。そちらこそ詰めが甘いんじゃありませんか?」
隼人 「く・・・」
早乙女 「お嬢さんもその辺で。今回の事はお互いの連携不足から出たこと。互いに今後の教訓としようではありませんか」
紬 「そうですね」
隼人 「・・・」
紬 「・・・ただ」
隼人 「ん?」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:20:47.56 ID:AB6779000
紬 「思い返せば確かに。唯ちゃんには”パイロット”に相応しい能力に長けていました。そこで計測装置を手にしてすぐに・・・」
紬 「物は試しとこっそり唯ちゃんに使ってみたんです。そうしたら・・・」
早乙女 「的中だったというわけか」
紬 「そして今日みせてくれた彼女の力・・・あれで私も確信しました。唯ちゃんこそ、私たちが求めていた人材なのだと・・・」
隼人 「ちょ、ちょっと待ってくれ。だとしたらどうしてだ?どうしてあんたは、平沢唯と同じ学校にいたんだ?」
紬 「偶然」
隼人 「そんな都合の良い偶然などあるものか!」
紬 「偶然という名の必然。つまり・・・」
紬 「ゲッターの意志による邂逅・・・」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:30:00.72 ID:AB6779000
・・
・・
和 「唯・・・」
唯 「の・・・和ちゃん?」
和 「ごめんね、唯。心配かけちゃったよね・・・」
唯 「あ、あうう・・・」たじっ
和 「唯・・・?」
竜馬 「心配するな。こいつは本物だ」
唯 「本当?本当のホントに、本物の和ちゃん?」
竜馬 「ああ。トカゲでも幽霊でもない。正真正銘、お前の友達だ」
唯 「あ・・・う・・・私・・・和ちゃん、死んじゃったものだと・・・」
和 「バカ、唯。私が唯を置いて死んじゃうわけなんてないじゃない・・・」
唯 「そ、そうだよね。え、えへへ・・・へへ・・・へ・・・う・・・」
唯 「うえええええん。和ちゃん、良かったよぉ!ええーーーーん!」
和 「ぐすっ。唯・・・」
竜馬 「けっきょく泣くのかよ・・・」
竜馬 「でもま、良かったな・・・」(ぼそっ)
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:34:58.32 ID:AB6779000
・・
・・
竜馬 「思う存分泣いて、気は済んだか?」
唯 「う、うん。えへへ・・・なんだか泣き疲れちゃった」
和 「ふふ、唯らしい」
唯 「でもでも・・・どうして和ちゃんがここに?あのトカゲの人は、その・・・和ちゃんは死んじゃったって・・・」
竜馬 「簡単だ。殺される前に俺が助けて研究所に保護した。それだけの話だ」
唯 「えっ」
竜馬 「俺と隼人はちょっとした探し物をしていてな。目的の物の反応を追っているうちに、お前の学校の近くまでやってきたってわけだ」
竜馬 「で、そこでこの娘がトカゲ野郎に拉致される現場に出くわした」
竜馬 「おそらくトカゲ野郎も同じものを探しているはずと踏んでな、入れ替わった奴を泳がせた後でこいつを救出したってわけだ」
唯 「探しものって、なんなの・・・?」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:53:10.93 ID:AB6779000
竜馬 「・・・ゲッター線って聞いた事があるか?」
唯 「え・・・う、ううん。ゲッターって言うくらいだから、ゲッターロボと関係があるの?」
和 「私は聞いた事がある。宇宙から降り注ぐ宇宙線の一種で、ゲッターロボのエネルギーにもなってるんですよね」
竜馬 「よく知ってるな、メガネ」
和 「め、めがね・・・」
唯 「あはは」
竜馬 「だが、それだけじゃない。じゃ、簡単にゲッター線の説明からいこうか」
ゲッター線!
神秘の宇宙線にして、ゲッターロボの名前の由来ともなったエネルギーを、人はこう呼ぶ!
では、その正体とはいったい何か!?
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:56:52.31 ID:AB6779000
遥かなる太古。
人類が誕生する以前。哺乳類の先祖が、まだネズミのような姿で地べたを這っていたころ。
地球の支配者は恐竜だった。
彼らはただ獰猛だっただけではない。やがて知性を得、高度な科学や芸術を手に入れ、文化というものを生み出した。
そう、一大文明を築いていたのだ!
だがしかし。
彼らの繁栄も永遠のものではなかった・・・
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:01:15.81 ID:AB6779000
ある時、突如地上に降り注ぎ始めた宇宙線、ゲッター線は生物の生態に重大な影響を及ぼした。
それこそが進化!
そう、ゲッター線には生物の進化を促し、新たなステージへと駒を進めさせる、偉大な力が秘められていたのだ!!
進化・・・
それは生態系にとっての成長。それを促すゲッター線こそは、まさに夢のエネルギーともいえた!
だが、進化が成長であるのなら、当然そこには老いと衰えというプロセスも含まれる事となる・・・
すなわち、その時点で進化の頂点に達していた恐竜たちの生態は、ゲッター線の及ぼす影響には適応できなかったのだ。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:13:03.47 ID:AB6779000
ゆえに・・・
ある種は死に絶え・・・
また、かろうじて生き残った種も、地下深くに新たな生活の場を移し、難を逃れる他に術がなかったのである。
和 「え・・・それってもしかして・・・」
唯 「え?なになに??」
和 「もしかして、その時絶滅してしまったのが、化石で見ることのできる、いわゆる”恐竜”で・・・」
竜馬 「ふ・・・察しが良いお嬢さんだな」
和 「やっぱり、そうなんだ・・・」
唯 「えー、いったい何なの?なんの話?ねー・・・」
和 「つまりね、唯。地下に逃れて絶滅を免れた種の子孫こそが・・・・」
竜馬 「そう。恐竜帝国だ」
唯 「えー!?」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:18:06.63 ID:AB6779000
恐竜帝国!
地下に逃れた彼らは、ゲッター線に対抗する手段を手にするまで、長い雌伏の時を耐えていた!
そして同じころ地上では・・・
進化の途上にあった哺乳類が、ゲッター線の祝福を受けていた!
ネズミと大差ない原始的な生物から猿へ、そして人類へと・・・
やがて進化と共に知恵という武器を手にした人類は、地上の覇権を手中に収めるにいたる。
そう、ゲッター線は人類に進化と地上、その二つをもたらしていたのだ!
唯 「・・・」
和 「・・・」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:22:26.96 ID:AB6779000
竜馬 「恐竜帝国は爬虫類だ。とうぜん他の爬虫類同様に冬眠にあたる休眠期間ってもんがある」
竜馬 「長い長い休眠期間を終え、地上のゲッター線量がかつてより下がっている事を確認した奴らは、再び光を求めて地上に這い上がってきた」
竜馬 「そうしたら、暫くぶりの地上では俺たち人間が大きな顔でのし歩いていて、奴らの居場所は無くなっていたってわけだ」
和 「つまり恐竜帝国にとってのこの戦いは、侵略でもなんでもなく・・・」
竜馬 「ああ、元いた場所を取り戻すため。それだけのことだ」
唯 「・・・そうだったんだ。なんだか、かわいそうだね」
和 「唯・・・」
唯 「和ちゃんにあんな事をした恐竜帝国は許せないよ。だけど、あの人たちにも戦う理由っていうのがあったんだね」
唯 「私・・・今まで恐竜帝国の事、たんなる悪者だとしか思っていなかった」
竜馬 「そうさ。あいつらはあいつらの立場で、生きるために戦っている」
竜馬 「これは生存競争だ。人類と奴らの間に、善だの悪だのって関係は存在しねぇ」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:25:59.99 ID:AB6779000
和 「弱肉強食・・・」
竜馬 「そう。奴らとは殺すか殺されるかだ。善悪の問題じゃねぇから、お互い譲歩して手打ちって訳にはいかねぇ」
竜馬 「人類か恐竜帝国か。この戦いはどっちかが滅ぶまで終わらねぇんだ・・・」
唯 「ごくっ」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:26:38.42 ID:AB6779000
次回へ続く!
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:06:48.71 ID:wkiJsOIE0
和 「でも・・・恐竜帝国は倒されたと聞いていました。その・・・ゲッターロボと相打ちになって・・・」
竜馬 「違うな。たしかにあの戦いで、奴らは持ち駒の大半を失った」
竜馬 「だが、連中の親玉である帝王ゴールは健在だし、恐竜帝国が滅んだわけでもねぇ」
和 「え、じゃあ・・・最近メカザウルスの襲撃が無かったのは・・・」
竜馬 「力を蓄えているんだろうぜ。今回平沢唯を狙ってきた事を考えても、奴らが本格的に行動を再開するのも間近だろうさ」
唯 「でも、どうして私なんかが狙われちゃったの?私、ただの女の子だよ・・・?」
和 「・・・それに、その事とあなた方の探し物に、いったい何の関係が・・・?」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:12:46.67 ID:wkiJsOIE0
竜馬 「・・・ゲッターロボはメガネがさっき言ったとおり、ゲッター線を利用したエネルギーで動いている」
竜馬 「俺たちゲッターのパイロットは防護服を着用しているとはいえ、通常より数倍ものゲッター線に満たされているコクピットでゲッターを動かさなくてはならない」
唯 「???」
竜馬 「ゲッターのパイロットの資質。それは運動神経であったり、戦い抜く意思であったりと様々だ。だが、一番重要なのが・・・」
紬 「人が自らの体内に保有するゲッター線。その量・・・」
唯 「え・・・」
和 「こ、琴吹さん・・・?」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:16:59.90 ID:wkiJsOIE0
紬 「唯ちゃん、気分はどう?」
隼人 「・・・」
竜馬 「隼人、マユゲと博士の話は終ったのか?」
紬 「マユゲ・・・」
隼人 「ああ、琴吹で用意している例のものは、間もなく建造が終るそうだ」
竜馬 「そうか、いよいよだな。あとは・・・」
隼人 「命を吹き込む者を待つのみだ」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:22:02.73 ID:wkiJsOIE0
唯 「ムギちゃん!もしかして、ムギちゃんも恐竜帝国の人に何かされたの!?」
紬 「ううん」
和 「じゃ、どうしてここに・・・」
紬 「唯ちゃん、ごめんね・・・」
唯 「え・・・」
紬 「竜馬さんがしていた話の続きだけどね。ゲッターのパイロットに最も必要なものは、人類自身がもつゲッター線なの」
紬 「人間はゲッター線を浴びて猿から進化した関係上、誰でも体の中にいくらかのゲッター線を宿している」
紬 「だた、その量は人によって様々でね?生まれもった資質の一つだと考えてもらっても良いかも知れない」
唯 「え?え?む・・・ムギちゃん・・・」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:24:36.40 ID:wkiJsOIE0
紬 「生まれつきゲッター値が高い人は、他から浴びせられるゲッター線に対しても強い耐性を持っているの」
紬 「逆に耐性が低いと、体や・・・もしかしたら心にも。どんな影響を及ぼすか想像もできない」
和 「琴吹さん・・・ちょっと・・・」
紬 「だからね。ゲッターロボに乗るためには、これがもっとも重要な事なのよ」
和 「琴吹さんってば!どうしてその事をあなたが?ううん、それ以前に・・・」
和 「竜馬さんも。どうしてその事を、唯に言うの・・・!?」
竜馬 「・・・」
隼人 「・・・」
紬 「・・・」
和 「ま、まさか・・・」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:29:15.92 ID:wkiJsOIE0
唯 「え?な、なに・・・ちょっと、なんなのかなー・・・?」
紬 「そうよ。唯ちゃんには、常人の数倍のゲッター線が宿っている・・・今までの常識では考えられないほどの莫大な・・・」
唯 「そ、そんな話、聞いた事ないよ・・・?」
竜馬 「そらそうだ。特殊な計測器を使わなきゃ、表には出ないもんだからな」
隼人 「しかしトカゲ野郎は人間以上にゲッター線に敏感だ。やつ等が平沢唯を拉致して何をするつもりだったのかは見当もつかないが・・・」
竜馬 「その高いゲッター値ゆえに連中に見つかり、狙われたことだけは間違いねぇ」
唯 「そ、そんな・・・」
紬 「唯ちゃん、お願いがあるの」
唯 「へ・・・?な、なんだろ。嫌な予感しかしないけど・・・」
紬 「ゲッターに・・・」
唯 「・・・え?」
紬 「ゲッターロボに乗ってちょうだい」
唯 「」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:40:16.79 ID:wkiJsOIE0
・・
・・
同じころ紬たちの去った後の応接室では、残された早乙女博士が一人、物思いにふけっていた。
早乙女 「・・・」
こんこん
早乙女 「入れ」
ミチル 「お父様・・・」
早乙女 「ミチルか。間もなくだぞ。新たな戦いの幕が切って落とされるのは」
ミチル 「・・・」
早乙女 「ワシを非情と思うか?」
ミチル 「はい。竜馬君や隼人君、それに武蔵君に続いて、あんな何も知らない女の子まで戦いの渦中に巻き込もうとしてる・・・」
ミチル 「お父さんは、やっぱり鬼だわ・・・」
早乙女 「鬼か・・・達人が・・・お前の兄が死んだ時にも、そう言われたな」
ミチル 「・・・」
早乙女 「だが、誰かが戦わねば、人類は滅びる。そうなれば、どのみちあの少女の命も失われよう」
早乙女 「ならば、大を生かすためには小を捨てる。摂理であろう?」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:53:49.37 ID:wkiJsOIE0
ミチル 「・・・それで、彼女が乗る新ゲッターは、もうすでに・・・?」
早乙女 「ほぼ完成したそうだ。あとはこの研究所から送ったゲッター炉を機体に組み込めば完成だ」
ミチル 「こちら・・・早乙女研究所で建造中の方は?」
早乙女 「そちらはすでに完成している。肝心の新パイロットの訓練も、すでに修了した。いつでも戦える」
ミチル 「そう・・・」
早乙女 「・・・ワシは先の戦いで学んだ。所詮たった一人の精鋭は、数の前では無力なのだと」
早乙女 「いかにゲッターが強力であっても、戦えなくなった時に補佐できる者がいなくては、敵の成すがままにされるより他に無いとな」
ミチル 「武蔵君・・・」
早乙女 「そう、武蔵の尊い犠牲が教えてくれたのだ。そして,武蔵の死は我が研究所に新たな力をも、もたらしてくれた!」
早乙女 「すなわち、金の力だ!」
ミチル 「琴吹財閥ね」
早乙女 「そうだ。日本の・・・いや、世界有数の資産を有する財閥が、協力を申し出てくれた。これによって、ゲッター計画は新たな一歩を踏み出す事ができたのだ!」
ミチル 「女の子の運命と引き換えにね」
早乙女 「言うな!ここで我らが歩みを止めたら、今まで犠牲になった命のすべてが犬死となってしまう!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:58:41.24 ID:wkiJsOIE0
・・
・・
唯 「私が、ゲッターロボに乗る・・・?」
紬 「うん」
和 「それってどういうこと?まさか、唯にロボットに乗って戦えって言っているの?」
紬 「そうよ」
和 「なっ・・・」
唯 「」あんぐり
和 「ねえ、琴吹さん・・・分かるように説明してもらえないかしら・・・」
紬 「わかってる。唯ちゃん、よく聞いてね?」
唯 「う、うん・・・」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:07:31.38 ID:wkiJsOIE0
私ね、ずっと不思議だったの。
なぜゲッターロボはたった一体で戦っているのだろうって。
もしゲッターロボに何かがあったら、戦う力が失われてしまったら、その時はどうなるんだろうって・・・
そして、その不安は現実のものとなってしまった。
もしあの時、ゲッターロボがもう一体あったなら。仲間がいたのなら。
ゲッターは恐竜帝国と刺し違えなくても良かったかもしれない。亡くなったパイロットも、死なずに済んだかもしれないって。
でも、それは仕方のないことだったのよね。
ゲッターロボは、建造費はもちろん維持費や戦いの後の補修にも、莫大なお金がかかる金食い虫・・・
国の後ろ盾があるとは言え、一民間機関である早乙女研究所では、とても複数のロボットを保有できる余裕なんか無かったのよ。
だから私、琴吹の家に働きかけたの。時期当主として、早乙女研究所に協力するようにと。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:15:02.07 ID:wkiJsOIE0
和 「協力・・・?」
紬 「そう。早乙女研究所で一体のゲッターを保有するのが精一杯なのなら、別のところが保有すればいい」
紬 「そして互いに不足な部分を補い合う。敵にとってはまさに、前門の虎 後門の狼・・・」
紬 「つまり・・・名づけてゲッター虎狼計画」
唯 「ころう・・・けい・・・かく・・・」
紬 「そして、それは間もなく完成するわ。琴吹重工製の新たなゲッターロボが・・・」
紬 「それにね、唯ちゃん。あなたが乗って欲しいの。琴吹製ゲッターのメインパイロットとして」
隼人 「俺たちと琴吹のお嬢はゲッターのパイロットを二手に分かれて探していたんだが、奇しくもたどり着いたのは同じ人物のところだった」
唯 「そ、それが私だって言うの・・・?」
竜馬 「そうだ、ヘアピン」
唯 「へ、ヘアピンって・・・」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:20:40.73 ID:wkiJsOIE0
竜馬 「トカゲ野郎を泳がせておいたおかげで、お前にたどり着く事ができたぜ」
和 「まさか琴吹さん、あなたその為に唯に近づいたの?同じ学校に入って、同じ軽音部に所属して・・・」
唯 「へ!?そ、そうなのムギちゃん・・・」
和 「だとしたら、私はあなたを・・・」
紬 「違うわ!それは本当に違う。私が唯ちゃんや他のみんなと知り合ったのは、本当に偶然。それだけは信じて・・・」
紬 「でもね?私は思うの。意味の無い偶然なんか、この世には存在しないって」
竜馬 「さっきも言っていた、ゲッターの意志って奴か」
和 「・・・意味が分からないわよ」
紬 「私が唯ちゃんと出会ったのは、運命だったという事」
唯 「ひゃっ///」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:33:06.26 ID:wkiJsOIE0
和 「か、仮に偶然だとして、どうして唯が?唯の運動神経はあなたも知ってるでしょ?とても使い物になるとは思えないわ」
唯 「あう、和ちゃん。それはあんまり・・・」
隼人 「俺は運命なんて観念めいた事なんか信じてはいない。だが、平沢唯にはゲッターに乗る資質がある」
和 「断言するんですか?」
隼人 「そうだ。それはこのゲッター線計測装置の計測結果が教えてくれている」
和 「・・・だからって」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:42:19.25 ID:wkiJsOIE0
竜馬 「まぁ・・・言葉で言っても納得できないのは当然だ。最初は俺たちもそうだったじゃねぇか、隼人」
隼人 「まぁ、そうだがな」
竜馬 「で、俺たちの時にはどうしたかって話だが・・・」
隼人 「ふ、そういうことだな」
唯 「え・・・なに?また私を置いてきぼりにして、話が進んじゃってる??」
竜馬 「ヘアピン、体の具合はもう良いんだったよな?」
唯 「え、うん・・・」
竜馬 「じゃ、ついてきてもらおうか」にやり
唯 「え?え?」
思惑ありげな笑みを浮かべる竜馬に、戸惑う事しかできない唯。
果たしてその笑みの意味するところとは何なのか!?
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:42:46.99 ID:wkiJsOIE0
次回へ続く!
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:11:14.70 ID:ZYbtBDj+0
・・
・・
唯 「えーーーー!?」
なぜか唯は、自動操縦で動くよう設定されたベアー号のコクピットの中に放り込まれていた!
唯 「なんなの!?いったい何なの!?」
竜馬 「あー聞こえるか、ヘアピン。ちゃんとシートベルトで体を固定して置くようにな」
唯 「なに?なに、この状況?分かるように説明してよー!?」
竜馬 「ああ、これな。これは練習用のゲッターロボだ。実戦には向かないし、本物のゲッターに比べればパワーは劣るが、乗り心地を体感するにはちょうど良いだろ」
唯 「そういうことを言ってるんじゃなくてー!」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:12:52.54 ID:ZYbtBDj+0
隼人 「操縦はすべてコンピューターがしてくれる。お前さんは、ただ座っていれば良い」
唯 「そうは言っても・・・」
竜馬 「じゃあ、行くぜ。ゲッターゴー!」
竜馬の掛け声を合図に、滑走路を爆走し基地の外へと飛び出す三機のゲットマシン!!
唯 「うあ、うあああああああっ!?」
隼人 「悲鳴は黙ってあげろ!舌を噛み切ってしまっても知らないぞ!」
唯 「そ、そんな無茶なああああああっ!?」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:15:13.81 ID:ZYbtBDj+0
竜馬 「よーし、合体するぜ!チェンジゲッター1スイッチオン!!」
併走していた三機は、竜馬の掛け声で隊列を変え、イーグル号 ジャガー号 ベアー号の順に縦列を作った!
見事にして華麗なるフォーメーション!!
そして!
物理法則を無視した変形をそれぞれ行い、ある部分は伸び!ある部分は縮み!そしてある部分は増殖し!!
やがて三機は一ところに吸い込まれるかのように集まり・・・
衝突した!
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:18:06.33 ID:ZYbtBDj+0
和 「・・・っきゃあ!」
紬 「・・・」
和 「ぶ・・・ぶつぶつ・・・ぶつか・・・唯っ!!」
紬 「落ち着いて、和ちゃん。よく見て」
和 「落ち着いてなんていられないわよ!だって、唯が・・・唯がっ!!」
紬 「あれはね、ぶつかったんじゃない。合体したの」
和 「え・・・が、合体・・・?」
紬 「そう、三つの命が一つに重なって、無敵のスーパーロボットが誕生する。それこそが・・・合体!」
和 「合体・・・ゲッターロボ・・・」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:28:10.65 ID:ZYbtBDj+0
衝突した!・・・かに見えた。
そう、研究所のバルコニーにて・・・
少し離れた場所から見ていた和には、ゲッターロボの合体がそう見えても仕方が無かった。
それほどまでにゲッターの合体は高速にして激しく、とても常人の目で追えるところではなかったのだ!!
だが、見よ!
今こそ、刮目してみよ!!
先ほどまで三機のマシンがあった空に、今は一体のロボットの姿。
雄雄しく、凛々しくそびえ立つ姿があった!
それこそがゲッター!
ゲッターロボの勇姿なのだ!!
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:36:41.40 ID:ZYbtBDj+0
竜馬 「ふぅ・・・」
隼人 「竜馬・・・?」
竜馬 「訓練用とは言え、やっぱり良いな、ゲッターロボは」
隼人 「・・・ああ。武蔵が死んだあの戦い以来だったからな。だがさすがだ、勘はちっとも鈍っちゃいない」
竜馬 「当然、俺を誰だと思っていやがる」
唯 「・・・」
竜馬 「と、まぁ。これがゲッターロボの合体だ。練習用でこの速さ。実戦機はもっと・・・」
唯 「お・・・」
竜馬 「ん・・・?」
唯 「おえええええ・・・」
竜馬 「・・・あらら」
隼人 「無理もない。初めてゲッターに乗って、三半規管が音を上げない奴なんか、そういるもんじゃないからな」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:46:45.10 ID:ZYbtBDj+0
唯 「うう・・・けほっ。もうやだよぉ・・・おろして・・・」
竜馬 「目ぇ瞑ってるな!操縦桿の動きを見ていろ!」
唯 「うえぇぇ・・・そ、そんなこと言ったって・・・」
唯ちゃん。
唯 「え・・・この声・・・」
目を開けて。そして、ほら。外を見てみてよ。
唯 「だ、だって・・・」
キャノピー越しに見える景色を。空の色。雲の流れ。風の息吹を・・・ほら。
唯 「そんなこと言われたって・・・怖い・・・ううっ」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:52:20.60 ID:ZYbtBDj+0
大丈夫。
さぁ、私を信じて?
唯 「・・・」
おそるおそる・・・
唯 「わ・・・今、こんな高いところにいるんだ、私・・・」
唯 「うわぁ・・・建物がちっちゃく見えて、おもちゃみたい」
唯 「夕日が雲に照り返して、キラキラ光っていてきれいだなぁ」
唯 「この景色、澪ちゃんにも見せてあげたいな。きっと、良い詞が書けそうだって喜んでくれそう」
唯 「あ、あれ・・・気分が落ち着いてきちゃった。吐き気もおさまって・・・」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:59:08.26 ID:ZYbtBDj+0
感じて。コクピットに満ちたゲッターの意志を。
唯ちゃんは護られている。
唯 「・・・うん」
竜馬 「よっしゃ、そんじゃあこのまま空の散歩としゃれ込むとすっか!!」
ぎゅんっ!!
唯 「うわわっ!?」
唯 「あ・・・景色がまるで絵の具をかき回したように、すべてが一つに溶け込んでいく・・・」
唯 「すごいスピード・・・私、いま空を飛んでいるんだ!」
唯 「た、楽しいっ」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:15:38.22 ID:ZYbtBDj+0
隼人 「・・・おい、竜馬」
竜馬 「あ?」
隼人 「モニター越しに、彼女の顔を見てみろ」
竜馬 「ゲロ吐きそうな顔を見たって何にも・・・て・・・」
隼人 「笑ってやがる」
竜馬 「本当だ・・・ゲッター初乗りで笑顔、浮かべてやがるのか。なんて奴だ」
隼人 「こいつは、俺たちの予想を超えての収穫だったかも知れんな」
竜馬 「あ、ああ・・・」
唯 「すごい!すごいよ!あは、あははっ」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:17:36.91 ID:ZYbtBDj+0
・・
・・
紬 「唯ちゃんは天才よ」
和 「え?」
紬 「幼馴染の和ちゃんなら、唯ちゃんの飛びぬけた資質を、今まで何度も見た事あったんじゃないかしら」
和 「どういうこと?」
紬 「例えば音楽。楽器を始めたのは軽音部に入ってからだというのに、彼女は瞬く間にギターをマスターした」
和 「それは、周りのみんなに助けられたからじゃ・・・」
紬 「唯ちゃんが絶対音感の持ち主だったって事、和ちゃんは知っていた?」
和 「え?そんな話は初耳だけれど・・・」
紬 「唯ちゃんね、ギターの音合わせでチューナーを使った事がないの。いつも感覚で作業して、それがピタリと合ってしまう」
和 「そ、そうなんだ・・・じゃあ、軽音部に入部したのも、その才能が引き合わせた事だったのかもしれないわね」
紬 「それはないわ」
和 「どうして言い切れるの?」
紬 「だって入部当初の唯ちゃんに、そんな能力は無かったんだもの」
和 「・・・え」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:24:45.82 ID:ZYbtBDj+0
紬 「ギターが上手になりたい。早くみんなとセッションしたいという唯ちゃんの想いが、能力を開花させたのよ」
和 「・・・絶対音感ってそういう風にして身につくものなの?」
紬 「ううん、唯ちゃんなればこそのことよ」
和 「・・・」
紬 「隼人さんから聞いた話だとね?さっきは学校で、竜馬さんと互角に打ち合ったんだって」
和 「打ち合ったって・・・?」
紬 「拳と拳」
和 「・・・!」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:35:04.58 ID:ZYbtBDj+0
紬 「竜馬さんというのはね、あの流一岩のご子息でね」
和 「え・・・悪評が元で空手界を追放されたって有名な・・・?空手に興味の無い私でも聞き覚えがある・・・」
紬 「そう、その跡取りの竜馬さんも、もちろん空手の達人。その腕を見込まれて、ゲッターロボのパイロットに抜擢されたほどの」
和 「そんな人と互角に・・・?」
紬 「ええ。もちろん唯ちゃんには空手はおろか、殴り合いのケンカをした経験さえ無いでしょうにね」
和 「ありえないわ」
紬 「ありえない事を成すのが天才なの」
和 「・・・」
紬 「あなたを助けたいという一念が、空手の達人と互角に渡り合う術を瞬時に身につけさせた」
和 「信じられない」
紬 「それができるのが唯ちゃん。唯ちゃんは望めば何にでもなれる」
和 「どういうことなの・・・」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:38:08.94 ID:ZYbtBDj+0
紬 「進化の秘密の源泉であるゲッターに愛された存在である唯ちゃん。進化とはすなわち成長・・・」
紬 「ギターの名手にも空手の達人にも。そしてゲッターロボのパイロットにも・・・」
紬 「唯ちゃんが成長を望めば何にでもなれる。もし・・・もしも・・・」
紬 「彼女が人という概念を捨てることができれば、空すら飛べるかもしれないわね」
和 「それって・・・」
紬 「・・・」
和 「それって、唯が人じゃないって言ってるのと一緒じゃない!」
紬 「違う。人よ・・・ただ・・・ちょっとだけ普通と違うだけの・・・」
紬 「ゲッターに魅入られたというだけの、人間・・・」
和 「・・・これから唯はどうなっちゃうの?」
紬 「・・・」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:43:11.47 ID:ZYbtBDj+0
次回へ続く!
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:32:49.04 ID:xg4PGvc+0
再開!
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga]:2011/11/09(水) 00:34:57.69 ID:W1Y6x/Jv0
・・
・・
帰路。隼人の運転する車の中。
隼人 「俺は平沢唯を家に帰すのは反対なのだがな」
和 「どうして?唯を軟禁でもするつもり?」
紬 「違うわ、和ちゃん・・・」
竜馬 「まるで俺たちがヘアピンを取って食おうとしているみたいじゃねぇか」
和 「似たようなものじゃない・・・」
唯 「私、食べられちゃうの?」
紬 「それも違うわ、唯ちゃん・・・」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:37:20.73 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「隼人はな、研究所にいたほうが安全だって、そう言いたいんだよ」
唯 「どういうことなの?」
竜馬 「理由は定かじゃないが、恐竜帝国はヘアピンの身柄を狙っている。再び襲撃をかけてきてもおかしくはない」
紬 「早乙女研究所なら防備は万全でしょうしね」
隼人 「そういうことだ」
唯 「えええ・・・私、また怖い目に遭わされるかもしれないの?うう、和ちゃん・・・」
和 「唯・・・」
竜馬 「だがま、研究所にいたからといって、絶対に安全って訳でもない。研究所の場所はすでに敵に知られているし、現に襲撃を受けた事も過去に何度かあった」
竜馬 「結局どこにいたところで、枕を高く高いびきって訳にはいかねぇのさ。だったら、ヘアピン自身がいたい場所にいるのが一番いいんじゃねぇか」
唯 「竜馬さん・・・」
竜馬 「リョウでいいぜ」
唯 「うん・・・」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:40:07.60 ID:xg4PGvc+0
隼人 「そう言って平沢唯の帰宅を推したのはリョウなんだ。責任を持って、彼女の警護はやり遂げてもらうからな」
唯 「え・・・」
竜馬 「分かってるさ」
唯 「あ、あの・・・ありがとう、リョウさん」
竜馬 「礼には及ばない。お前にはこれから、俺たちの力になってもらわなくちゃならないんだからな」
和 「・・・唯の意思にはお構いなくですか?」
竜馬 「やけにつっかかってくるな?」
和 「・・・ふんっ」
紬 「・・・」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:44:19.18 ID:xg4PGvc+0
・・
・・
隼人 「着いたぜ」
竜馬 「隼人はこのまま、マユゲと一緒に琴吹重工に向かうんだったよな」
隼人 「ああ。届いているはずのゲッター炉を琴吹製のゲッターに組み込む作業に立ち会わねばならん」
竜馬 「いよいよ完成だな」
隼人 「作業は明日には完了するだろうさ」
紬 「そういうわけだから、私もここで失礼するわね」
唯 「うん」
紬 「唯ちゃん、ごめんね・・・本当はもっと時間をかけて、順を追ってお話しするつもりだったんだけど・・・」
紬 「恐竜帝国が行動を開始してしまった以上、どうしても・・・」
和 「降りよう、唯」
唯 「え・・・和ちゃん・・・?」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:03:18.41 ID:xg4PGvc+0
和 「琴吹さん」
紬 「はい・・・」
和 「唯にどんな力があって、何ができるにしても・・・唯の意思を無視するのは止めて」
紬 「・・・」
和 「無理強いするような事があったら、もうあなたの事は友達とは思わないから」
紬 「わかってる・・・」
隼人 「話は済んだか?降りる人は、早く降りてくれないかね」
和 「・・・いこう、唯」
唯 「う、うん・・・」
ぶろろろろろろ・・・
唯 「行っちゃったね」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:14:21.72 ID:xg4PGvc+0
和 「早く家に入ろう?遅くなっちゃったし、憂も心配しているよ」
唯 「そ、そうだね・・・」
和 「それと。今日は私、唯の家に泊まっていくから。だって、心配だもの」
唯 「ありがとう、和ちゃん・・・」ちらっ
竜馬 「・・・ん?俺か?俺の事なら気にする必要は無いぞ」
唯 「でも、助けてもらったお礼もまだしてないし。ねぇ、上がって?一緒にご飯食べようよ」
和 「ちょっと、唯!?」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:20:13.93 ID:xg4PGvc+0
唯 「憂のね。あ、憂っていうのは妹なんだけどね。憂のご飯って、とっても美味しいんだよ!」
竜馬 「いや、しかし・・・」
唯 「だめ?なにか、決まりとかあるの?」
竜馬 「そういうわけじゃないんだが、女ばかりの中に男が上がりこむというのも・・・」
唯 「・・・」
和 「・・・」
唯 「ぷっ、もしかしてリョウさん、女の子が苦手なのー?」
竜馬 「ば、ばか。そんなんじゃねぇよ」
唯 「あはは、強面だとおもってたけど、結構かわいいところがあったんだー♪」
竜馬 「ふざけんなよ、バカにするな!俺に苦手なもんなんぞあってたまるか!おお、飯でも何でも食わせてもらおうじゃねぇか!」
唯 「はいはい!」
和 「唯のこの順応性、ほんとう羨ましいわ・・・」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:33:15.89 ID:xg4PGvc+0
がちゃっ
唯 「ただいまー」
憂 「おかえり、お姉ちゃん」ぱたぱた
唯 「遅くなっちゃった。ごめんね」
憂 「だめだよ、いくら紬さんの家だからって、あんまり遅くまでお邪魔してちゃ、ご迷惑になるよ?」
唯 「う、うん(そういうことになってるんだ・・・)」
憂 「あ、和ちゃん」
和 「こんばんわ」
唯 「憂、今日ね。和ちゃん泊まっていくから。良いよね?」
憂 「うん、それはもちろん」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:42:32.22 ID:xg4PGvc+0
唯 「それと・・・」
和 「・・・」
唯 「・・・」
憂 「・・・?」
唯 「リョウさん、なにしてるの?」
竜馬 「あ・・・ああ」すっ
憂 「?」
唯 「こちら、流竜馬さん。一緒にご飯食べようって、お誘いしたの」
憂 「・・・!」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:48:01.11 ID:xg4PGvc+0
唯 「急だけど、みんなの分のご飯、用意できるかな?私も作るの手伝うし・・・」
憂 「・・・」ふるふる
唯 「憂??」
憂 「お姉ちゃんが・・・」
唯 「ん?」
憂 「お姉ちゃんが彼氏連れ込んだーーーーっ!!」
唯 「え」
和 「まあ」
竜馬 「・・・!?」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:00:51.50 ID:xg4PGvc+0
憂 「きゃーっ!お姉ちゃんが!お姉ちゃんがっ!けが・・・汚されちゃったぁー!!」
和 「ちょっと憂、落ち着いて!」
竜馬 「ま、待てよ!俺は別に何m
憂 「近寄らないで、けだもの!」
竜馬 「けだ・・・」
和 「ああ、憂が混乱してる。唯、はやくなだめ・・・」
唯 「あはは、憂ったらせっかちさんなんだからー」けたけた
和 「笑ってる場合じゃなくって!」
憂 「いやぁ!私のお姉ちゃんを返して!!」
竜馬 「いやだから、落ち着いて話を聞いt
憂 「触らないで!」
唯 「憂のおっちょこちょいー」あははあはは
和 「だ、だめだこの姉妹・・・」
ぎゃー!ぎゃー!
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:05:14.85 ID:xg4PGvc+0
・・
・・
憂 「・・・ごめんなさい」
竜馬 「・・・」ぶすー
唯 「男の人を連れてきただけで勘違いしちゃって、憂いもまだまだ子供だね♪」
憂 「うう・・・」
和 「流さんもいつまでむくれてるんですか、大人気ない。憂も謝ってるんだから、もう良いでしょう?」
唯 「リョウさんも子供だね♪」
竜馬 「うるせぇよ」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:13:54.51 ID:xg4PGvc+0
憂 「姉がお世話になったみたいで、そのお礼にお食事にお誘いしたんですね。それなのに私ったら・・・本当にごめんなさい」
竜馬 「いや・・・まぁ。分かってくれたんなら、もう良いさ」
憂 「はい・・・お詫びに腕によりをかけてご飯作りました。たくさん食べていってくださいね」
唯 「ね?憂のご飯、おいしそうでしょ」
竜馬 「確かにこれは・・・」ごくっ
唯 「じゃ、いただきまーす♪」
和 「いただきます」
憂 「おあがりなさい♪」
竜馬 「・・・いただきます」
憂 「どうぞっ」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:17:40.35 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「・・・」ぱくっもぐもぐ
憂 「ど、どうですか・・・?」
竜馬 「・・・うまいっ」
憂 「よかったー!」
唯 「そりゃそうだよ!当然だよ!」ふんすっ
和 「どうして唯が得意げになってるのよ」
憂 「ふふ、お口に合って良かったです。どんどん食べてくださいね」
竜馬 「ああ・・・」ちらっ
唯 「もっしゃもっしゃ・・・・美味しい!幸せー・・・」
竜馬 「よくできた妹だな。顔は確かにそっくりだが・・・本当に姉妹なのか・・・?」
和 「それはみんなが言うわね」
唯 「ん??なんだかすごい失礼な事を言われた気がする!」
和 「気のせいよ?」
唯 「そうかなー・・・」
憂 「お姉ちゃん、ほっぺたにお弁当つけちゃってるよ?取ったげるね」
唯 「おっと、こりゃ失礼。えへへ、ありがとう憂ー」
憂 「どういたしまして」
和 「くす。どっちが姉なのか、分からないわね」
唯 「やっぱりひどい事いわれてるー!」
憂 「あははっ」
竜馬 「・・・」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:24:39.27 ID:xg4PGvc+0
・・
・・
食後!
憂は後片付けにキッチンへ。
そして唯は、姉の資質を疑問視されたことを気にしてか、今日は珍しく憂の手伝いをしに、共にキッチンへと行っていた。
うら若い仲良し姉妹が並んでシンクに立つ姿は、なかなかに素晴らしいものがある!
だが今は、あえて視点を食堂に移そう。
そこでは食後の茶をすすりながら、言葉少なにテーブルについている和と竜馬の二人の姿があった。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:30:20.19 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「・・・良いもんだな、こういうのも」
和 「・・・何か言いました?」
竜馬 「ああ・・・なんていうか、こんな家庭的な雰囲気の中で食う飯ってのも、悪いもんじゃないなってな」
和 「・・・流さん、ご家族は?」
竜馬 「いや。親父は最近くたばっちまった」
和 「・・・お母様は?」
竜馬 「さてな。物心ついたときにはどこぞに消え失せてた。ま、あのキチガイ親父が相手じゃ、蒸発したくなる気持ちも分かるってもんだ」
和 「それじゃ・・・」
竜馬 「今じゃ天涯孤独ってやつだな。まぁ、俺みたいな風来坊には、その方が気楽で良いや」
和 「・・・」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:36:25.68 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「まぁ、だからなんだろうな。俺がすんなりゲッターに乗る気になったのは」
和 「流さんは空手の腕を見込まれて、パイロットにスカウトされたと聞きましたが・・・」
竜馬 「はは、あれはスカウトなんて生易しいもんじゃねぇ。なにせ殺し屋を差し向けられたんだからな」
和 「えっ!?」
竜馬 「俺が本当にパイロットに相応しいかのテストだったのさ。その後は拉致されて、無理やりゲッターに乗せられて」
和 「ひどい・・・抵抗はしなかったんですか?」
竜馬 「したさ。だが、すぐに考え直した。ゲッターのパイロットなんて因果な生き方は、案外おれに向いているんじゃないのかって思えたからな」
和 「どうして・・・」
竜馬 「俺には失うものが無い・・・」
和 「え・・・」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:41:05.63 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「そして、戦死しても悲しむ家族もいない。何時くたばるか分からない役目には、うってつけじゃねぇか」
和 「そんな・・・それで良いんですか?納得できるんですか?」
竜馬 「できるさ。ゲッターに乗ったおかげで、守りたい物が俺にはできたんだからな」
和 「それって、なんですか・・・?」
竜馬 「ヘアピンと妹のような・・・家族や大切な人が側にいる。そんな、ささやかな幸せって言うのかな・・・」
竜馬 「上手くは言えないが・・・俺にはその手の幸せに縁が無かった代償として、他人の幸せを守る力が与えられた。今ではそう思うのさ」
和 「それって・・・そんな悲しい事・・・」
竜馬 「悲しい?どうして?」
和 「だってそれって、あなたが誰かの幸せのために犠牲になるって言うことでしょ?どうして納得できるの?」
竜馬 「犠牲になるなんて思っちゃいない。言うなれば役割の違い。たったそれだけのことだろ」
竜馬 「幸せを享受するものと、それを支えるものと。どっちも必要なものだって思わないか?」
和 「それはそうかもしれないけれど・・・」
竜馬 「守るものが無いんじゃ、俺が戦う意味だって無くなってしまうんだからな」
和 「流さん・・・」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:45:40.39 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「だからな、もしヘアピン・・・平沢唯が。守る方ではなく、守られる側の立場を選ぶというなら、俺はその考えを尊重してやりたいと思ってる」
和 「え・・・」
竜馬 「他の連中の考えは知らないがな、俺は嫌がる奴を無理にゲッターに乗せたところで、物の役には立つまいと考えている」
和 「でも、だって。もうすでに、無理やりゲッターロボに乗せちゃってるじゃない」
竜馬 「あれは判断材料にしてもらうためさ。乗るも乗らないも、実際に乗ってみなきゃ判断のしようもないだろう?」
和 「そうかしら・・・」
竜馬 「そういうもんさ。乗ってみて、ゲッターの魅力に取り付かれちまった俺みたいな奴もいる。さてと・・・」がたっ
和 「どこに行くの?」
竜馬 「本来の役目に戻るとするさ」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:51:01.49 ID:xg4PGvc+0
和 「外で・・・まさか一晩中?」
竜馬 「さすがにいくらなんでも女ばかりの中で、ひとり男が泊り込むわけにもいかんだろう・・・あ」
竜馬 「念のため言っとくがな。これは別に、俺が女が苦手だから出て行くってわけじゃないからな。勘違いするなよ?」
和 「わ、分かったわよ。なにもそんな、ムキにならないでも」
竜馬 「大事な事だからな。それじゃぁ・・・おっと」
唯 「・・・」
竜馬 「聞いてたのか」
唯 「うん」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:56:19.17 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「じゃ、返事は早めにな。お前がゲッターに乗らない場合、新しいパイロットの選定にかからなにゃならねぇ」
唯 「う、うん・・・」
竜馬 「そんじゃ。妹に、ごっそさんって伝えといてくれ。久々の家庭料理、美味かったぜ」
とことこ・・・ばたん
唯 「・・・」
和 「唯・・・ゲッターに乗らなくっても良いんだって。良かったじゃない」
唯 「幸せ・・・守るほうの立場・・・」
和 「唯・・・?」
唯 「う、ううん・・・なんでもないよ・・・」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:57:06.07 ID:xg4PGvc+0
次回へ続く!
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:41:10.39 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
同時刻!琴吹重工の特設工場において!
まさに今、新たなる力が誕生しようとしていた!
隼人 「後は早乙女研究所から運ばれてきた、このゲッター炉を組み込めば、いよいよ完成だな」
紬 「ええ・・・」
隼人 「しかし、女性的なフォルムだな。設計思想がまるで俺たちのゲッターとは異なる」
紬 「唯ちゃんがパイロットに相応しいと分かったのは最近だけど、それ以前から何となくね、分かっていたの」
隼人 「ん?」
紬 「私たちの作ったゲッターに乗るのは、きっと女性だろうなって。予感がね、していたんです」
隼人 「怖いな。それもゲッターの意志が成した”偶然”ってやつかい?」
紬 「ううん、女の感」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:43:54.56 ID:GMsJEgy/0
隼人 「そういうことにしておいてやるか。で・・・このゲッターの名前は?」
紬 「まだつけていないの」
隼人 「ずいぶん悠長なことだ」
紬 「違うんです。名前はこのゲッターに乗る、メインパイロットに付けてもらおうと思って」
紬 「生死を共にするパートナーになるんだもの。想い入れのある名前をつけて欲しい・・・」
隼人 「まるで母が子に名前をつけるようだな。どこまでも女性的なことだ」
技師 「ゲッター炉の接続、完了しました!」
紬 「完成ね・・・」
隼人 「ゲッター虎狼計画・・・これで成った・・・あとは中身だが・・・」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:49:57.62 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
唯 「ねぇ、声しか聞こえない誰かさん」
・・・。
唯 「やっぱり側にいてくれてるんだよね。だって見えなくたって、あなたの事を感じられるんだもん」
唯 「なんだか、不思議な感じ・・・」
・・・。
唯 「ねぇ、あなたを見たいな。会って、直接お話がしたい」
・・・。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:52:16.80 ID:GMsJEgy/0
唯 「夢の中だし、私のお願い、聞いてほしいな」
唯 「ね・・・?だめ・・・かな・・・」
うん、分かったよ。
唯 「本当?ありがとう!えへへ~、嬉しいな・・・」
唯 「えっと、どこにいるのかな・・・」きょろきょろ
後ろを見て。
唯ちゃん、あなたの後ろ・・・
唯 「え・・・」くるっ
唯 「!」
唯 「う、うそ・・・わ、私?」
? 「・・・」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:55:00.04 ID:GMsJEgy/0
唯 「私と同じ顔?それが・・・それが、あなたの姿・・・なの?」
? 「ううん、私には固有の体というものが無いから」
唯 「え・・・」
? 「でもね。もし私に体という物があったとしたら、それはきっと、今までの生を一緒に歩んできた唯ちゃん・・・」
唯 「私・・・」
? 「そう、あなたと同じ姿だと思うから。だからね、今は貸してね。唯ちゃんの顔を」
唯 「うん・・・」
? 「えへへ、ありがとう」
唯 「あ、そうか。あなたの声、とても懐かしくって聞き覚えのある声だなって、ずっと思っていたの。なぜだか分かったよ」
唯 「私だ。私と同じ声だったんだね。だからなんだ・・・」
? 「うん」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:57:09.24 ID:GMsJEgy/0
唯 「そっか。そうなんだ・・・ね、今日は本当、すごい一日だったよ」
? 「・・・」
唯 「私を取り巻く周りが、まるでいっぺんに変わってしまったみたいな。そんな感じ・・・」
? 「唯ちゃん、不安?」
唯 「そりゃあ・・・そんでね。あなたに教えて欲しいの。私、これからどうするべきなのかなぁ」
唯 「ゲッターロボに乗ったほうが良いのかなぁ」
? 「唯ちゃんは、どうしたいの?」
唯 「ゲッターロボに乗るって事は、恐竜帝国と戦うってことでしょ?戦いなんてそんな、私は怖い。無理って思う。でも・・・」
? 「でも?」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:59:17.73 ID:GMsJEgy/0
唯 「試しにゲッターロボに乗せられた時、私ね。すっごい楽しかったの。心が躍った」
唯 「三つのマシンが一つになって、一つのロボットに合体する。まるで・・・」
唯 「バラバラの楽器が、みんなの心を一つにして演奏したとき、そこに音楽が生まれるのと同じような・・・」
唯 「そんな感動!」
? 「そう・・・」
唯 「それにね、あなたが守ってくれるって言ってくれたから。それほど怖くも無くなったし。私、ちょっとパイロットやってみたいかも」
? 「私もね。唯ちゃんがゲッターに乗ってくれたら嬉しい」
唯 「えー、どうして?」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:02:47.64 ID:GMsJEgy/0
? 「今度、新しいゲッターができるの聞いたよね。それに唯ちゃんが乗ってくれたら、私はそのゲッターの心になれる」
唯 「え・・・?」
? 「新しいゲッターロボを私の体にするの。そうしたらこれからは、物理的な力でも唯ちゃんを守ってあげられる」
唯 「私のために・・・」
? 「そう、すべては唯ちゃんのために」
唯 「ね・・・ねぇ。あなたの事、なんて呼べばいいのかな?いつまでもあなたとかじゃ、なんだか他人行儀で呼びにくいし」
? 「私はゲッター・・・」
唯 「ゲッター?」
? 「ゲッターの意志と呼ばれる者」
唯 「ゲッター・・・ゲッターの唯・・・ゲッター唯・・・」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:05:14.77 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
翌朝!通学路!
唯 「・・・」とぽとぽ
和 「唯、夕べはよく眠れた?」
唯 「あ、うん。もう朝までグッスリ!へへ・・・寝坊しちゃうところだったよ」
和 「そう、だったら良かった」
唯 「ありがとねー」
和 「ううん」
唯 「・・・」
和 「・・・」
和 「・・・ね、唯。まさかとは思うんだけれど」
唯 「なぁに?」
和 「唯、ゲッターロボに乗ろうだなんて、思っちゃいないでしょうね?」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:22:09.08 ID:GMsJEgy/0
唯 「え・・・どうして」
和 「今の唯、揺れてる表情をしてるもの」
唯 「そ、そんなにふらふらしてる?!」
和 「そうじゃなくて・・・例えば、そう。軽音部に唯が入った時にね、していた表情とそっくり」
唯 「え・・・」
和 「楽器の初心者だった唯の、これからへの期待や不安が入り混じった、あの時の顔と・・・」
唯 「和ちゃん・・・」
和 「迷ってるなら、やめてよね、唯!軽音部でギターを弾くのとは訳が違う!戦うなんて、死んじゃうかもしれないんだよ?」
和 「私・・・唯に危険な目に遭ってなんか欲しくないの!」
唯 「ありがとうね、和ちゃん。でも・・・」
和 「唯っ」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:26:04.86 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「はいはい、そこまでだ」
唯 「あ、リョウさん」
和 「・・・流さん」
竜馬 「困るぜ、メガネ。変な入れ知恵されちゃ。俺は昨日言ったはずだ、ヘアピンの考えを尊重すると」
竜馬 「お前の考えじゃねぇ。ヘアピン自身の考えをだ」
和 「だって・・・唯は・・・唯はいつも危なっかしくって!だから私が・・・」
和 「私がついてないと、唯はダメなのよ!」
竜馬 「ふーん・・・」
唯 「和ちゃん・・・」
竜馬 「・・・お前のヘアピンを想う気持ちはよく分かった。その篤い友情は買おうじゃねぇか。だかな・・・」
ガンガンガンガン!若い命が真っ赤に燃えて~♪
竜馬 「おっと・・・電話だ。ちょっと悪い。はい、流・・・なにっ?」
唯 「・・・?」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:37:33.53 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「ついにきやがったか・・・わかった。至急ゲッターをよこしてくれ。弁慶のポセイドン号に先導させて・・・ああ、そうだ!」
竜馬 「隼人にもこちらに合流するよう伝えてくれ。じゃあな」ぴっ
和 「・・・どうかしたの?」
竜馬 「メカザウルスだ」
唯 「えっ!?」
竜馬 「早乙女研の観測所がメカザウルスの接近を発見した。奴ら、とうとう行動を開始したようだぜ・・・」
唯 「ど、どこに・・・メカザウルスはどこにやってくるの!?」
和 「流さん、さっき神さんにこっちに合流するようにって言ってたわよね・・・まさか・・・」
竜馬 「慧眼だぜ、メガネ。メカザウルスはまっすぐこちらに向かって飛んできているそうだ」
唯 「こっちって・・・」
竜馬 「コンピュータで割り出した予想到着地点は、桜ヶ丘高校付近・・・」
唯 「!!」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:59:48.42 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「早乙女研からじゃ、俺たちのゲッターの到着はメカザウルスより後になってしまうだろう」
唯 「そんな・・・じゃあ、私たちの学校は・・・」
竜馬 「幸い始業前だ。今から避難誘導すれば、被害は最小限で抑えられるだろう。もっとも・・・」
唯 「・・・」
竜馬 「建物はどうなるか、わからないがな」
唯 「・・・っ!」
唯 「そんな・・・あそこには・・・学校には・・・軽音部やクラスのみんなとの大切な思い出がたくさんあるのに!」
竜馬 「選べ」
唯 「え・・・」
竜馬 「琴吹重工からなら、メカザウルスを待ちうけ、迎撃することができる」
和 「流さんっ!?」
竜馬 「新しいゲッターに乗るか。それとも逃げるか。今が運命の分水嶺だ。お前の意思で選ぶんだ」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:07:14.57 ID:GMsJEgy/0
唯 「う、うう・・・」
和 「唯、ダメだよ。逃げよう?」
竜馬 「・・・」
唯 「わ、私・・・」
竜馬 「・・・守られる立場を選ぶのも、一つの道だ。覚悟が決められないなら逃げたほうが良い」
唯 「だけどっ」
竜馬 「ここは学校から近い。この辺りも危険だ。戦わないなら、早く非難するんだな」くるっ
唯 「あ、リョウさんはどこ行くの!?」
竜馬 「学校に行って、登校してる奴らを非難させる。そうこうしてる内にゲッターが到着するだろう。そうしたら・・・」
唯 「・・・」
竜馬 「守ってやるさ」
唯 「・・・!」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:22:27.03 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「じゃあな!」
たったった
唯 「・・・」
和 「・・・唯、流さんの言うとおりだよ。私たちも早く逃げよう?」
唯 「でもでも・・・私たちだけ逃げて良いのかな・・・私、戦う力があるのに、リョウさんたちだけに任せちゃって、それで良いのかな!?」
和 「なに言ってるの?良いのよ!だって私たち、ただの女の子なんだよ?」
唯 「ただの・・・女の子・・・」
和 「唯・・・」
唯 「だけど、和ちゃん。ただの女の子でも、みんなの避難を手伝う事くらいはできると思うんだ。それくらいは・・・」
和 「・・・」
唯 「ね?和ちゃん・・・」
和 「そっか、そうよね。それくらいは・・・行こう、みんなを避難させに!」
唯 「うん!」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:24:09.82 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
う~う~う~!緊急警報発令!緊急警報発令!
律 「な、なんだ、このサイレン・・・」
澪 「なにが起こっているんだ・・・?」
唯 「りっちゃん!澪ちゃん!」たったった
律 「おー、唯に、えっと・・・和さんだっけ。どうしたんだ、そんな慌てて」
唯 「メカザウルス!」
律 「は?」
唯 「メカザウルスが飛んで来るから、ここら辺に!だから危ないから、みんな早くっ!」
澪 「落ち着け・・・いったい唯は何を言っているんだ?」
和 「ここら辺をメカザウルスが襲ってくるらしいの。今のサイレンは、その警報よ」
律 「な、なんだって!?」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:26:38.04 ID:GMsJEgy/0
和 「二人はここから引き返して。そして、すれ違う人たちにこの事を伝えて、一人でも多く避難できるように手伝って欲しいの」
澪 「あわわわ・・・」
律 「わ、分かった・・・けど、なんでそんな事、お前たちは知ってるんだ?」
唯 「それは・・・」
澪 「あわわ・・・わ・・・な、なぁ・・・あれ、あれってなんだ・・・?」
律 「なんだよ、どこ指差して・・・て、空?・・・ん?点?空に点・・・」
和 「違う!あれは・・・」
澪 「ど、どんどんこっちに近づいてくる!」
ごうっ!!!
和 「メカザウルス!もう・・・こんなに早く!?」
唯 「学校が・・・私たちの学校が!!」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:32:39.58 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
竜馬 「早く逃げろ!学校の中には、もう誰も残っていないな!?」
生徒 「は・・・はい。たぶん・・・」
竜馬 「よし!さぁ、お前も早く行け!一刻も早く、なるだけ遠くに・・・」
ごぉっ!
竜馬 「・・・!?メカザウルス・・・もうきやがったのか・・・」
竜馬 「ドンピシャで学校を襲いに来たってか。やはり狙いはヘアピンか。しかし、いったい何のために・・・くそっ」
竜馬 「頼むぜ弁慶、どうやら新しいのは当てにできない。早く来てくれ・・・」
ずずーん!
メカザウルス 「ぎゃぎゃああああっ!」
生徒たち 「きゃああああっ!?」
竜馬 「く・・・っ!早く逃げろ!後ろを振り返るな!早く!早く行けぇ!!」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:40:22.43 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
律 「ああ・・・メカザウルスが学校の校庭に・・・!」
澪 「こ、このままじゃ学校や周りの街が・・・どうなっちゃうんだ・・・」
和 「どうもこうも無いわ。ここにいたら危険よ?早く逃げましょう!」
唯 「・・・」
和 「唯?」
唯 「・・・」
和 「唯っ!」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:57:01.35 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
いつも、何となく思っていた。
何かしなくちゃいけない気がするんだけど、いったい何をすれば良いんだろうって。
私にはなにができるんだろうなって、ずっといつも。
みんなと楽しい時間を過ごして笑っているときも、心の片隅には常にそんな疑問がくすぶっていて。
このまま何となく毎日を過ごしていく事に、焦りみたいな気持ちをずっと持っていた。
私は今。もしかしたら見つけたのかもしれない。
私がするべきことを。私がしたい、本当のことを。
それは手を伸ばせばすぐに届くところにあって、私が一歩踏み出す決意を持つのを待ってくれている。
そして一歩を踏み出したとき、それはみんなを守れる力になるんだ。
それでもし・・・危険な目に遭ったとしても。
守ってくれるって、言ってくれたもんね?
? 「うん。唯ちゃんは私が守るよ」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:03:14.31 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
和 「ほら、唯!行くよ!?」
唯 「和ちゃん、ごめんね」
和 「え・・・」
唯 「えへ・・・」
和 「唯、まさか・・・」
唯 「ありがとね、和ちゃん。いつも私のことを心配してくれて、私のことを第一に考えてくれて。本当にありがとう」
和 「唯・・・」
唯 「大好き」
和 「っ///」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:22:40.68 ID:GMsJEgy/0
唯 「私ね、大丈夫だよ、きっと。そんな気がするんだ。だから、ね?和ちゃんは逃げて。私がね・・・」
和 「ああ・・・唯・・・唯・・・」
唯 「ね?私は大丈夫!」
和 「・・・」
唯 「私が学校もみんなも、和ちゃんも。みんな守って見せるから」
たたっ!
律 「え!?唯の奴、学校のほうに走って行っちゃったぞ?」
澪 「あ、あのバカ!何やってるんだ?はやく止めなきゃ・・・」
和 「・・・」すっ
澪 「え、の・・・和さん?」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:27:14.22 ID:GMsJEgy/0
和 「私たちは早く逃げましょう・・・」
律 「な、なに言ってるんだ!?あんた、唯の親友なんだろ!?あいつを見捨てるってのか!」
和 「大丈夫。唯はぜったい大丈夫だから」
澪 「どうしてそんなこと、言い切れるんだよ・・・」
和 「あの子が大丈夫と言って、大丈夫じゃなかったことなんて、今まで一度も無かったから。それに・・・」
和 「普段はいい加減だけど、一度決めたことは絶対に曲げない子なんだもの・・・」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:32:52.51 ID:GMsJEgy/0
・・
・・
琴吹重工 ドッグ内!
紬 「新ゲッターはいつでも出撃できるようにして置いてください!」
技師 「し、しかし!まだ起動実験もしていませんが・・・!」
紬 「恐竜帝国が活動を再開してしまった以上、そんな悠長な事を言っている暇はありません!」
技師 「わかりました・・・」
紬 「神さんは流さんと合流するために飛び出していってしまったけど、早乙女研究所のゲッターを待っていたんじゃ、おそらく手遅れになってしまう・・・」
紬 (・・・もし唯ちゃんが決断してくれなかったら、その時は私が・・・)
紬 (私じゃゲッターの操縦にどこまで体が耐えられるか分からない。でも、唯ちゃん一人に責任を背負わせるなんて事、私にはできないもの・・・!)
ごごごご・・・
紬 「え・・・なんの音?」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:38:37.06 ID:GMsJEgy/0
ご、ごごご・・・
紬 「え、ゲッター?ゲッターが発進体勢に入っている!?」
技師 「紬お嬢様!」
紬 「これはどういうこと?いったい誰がゲッターを動かしているんですか!?」
技師 「誰も動かしていません!ゲッターが勝手に、ひとりでに起動したんです!」
紬 「そ、そんなことって・・・」
ぐるん・・・
技師 「うわっ、ゲッターがこっちを向いた!?・・・我々を見ている・・・!?」
紬 (違う・・・ゲッターは私を・・・私を見ているんだ・・・)
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:45:48.62 ID:GMsJEgy/0
紬 「・・・」
紬 「・・・わかったわ」こくり
紬 「ハッチを開いて!ゲッターをこのまま発進させます!」
技師 「な、なにが起こっているのかも分からないのに、本気なんですか!?」
紬 「本気よ。大丈夫だって」
技師 「え・・・?」
紬 「この子に、ね。そう言われたような気がしたの」
技師 「この子って、いったい誰に・・・」
紬 「ゲッターロボに」にこり
技師 「は、はぁ・・・?」
紬 「信じましょう。ゲッターの意志を」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:46:26.31 ID:GMsJEgy/0
次回へ続く!
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:50:26.32 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
竜馬 「これであらかた避難は終わったか・・・あとは・・・」
唯 「リョウさん!」
竜馬 「ヘアピン!?お前、何でここに・・・ん・・・?」
唯 「来た・・・」
竜馬 「あの飛んでくるのは・・・ゲッターか!しかも見たことが無い・・・琴吹製の新ゲッターなのか!」
唯 「私が呼んだの」
竜馬 「なに?」
唯 「私が呼んだら、応えてくれるの。私、ゲッターに乗ってみるね」
竜馬 「お前・・・」
唯 「私も戦うよ。みんなを守る」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:54:07.20 ID:NMEKfpEK0
竜馬 「ヘアピン・・・本気か?」
唯 「うん」
竜馬 「一度乗ったら、後戻りはできねぇぞ」
唯 「リョウさん、言ったよね。自分には失う幸せが無いからこそ、誰かの幸せを守る力が与えられたんだって」
竜馬 「ああ・・・」
唯 「私はね・・・リョウさんと反対になっちゃうけど、守りたい物がたっくさんある」
唯 「大切な人や、思い出の場所。それを失うことが一番怖い・・・だから、守りたいの」
唯 「そのための力が与えられたんだって・・・」
竜馬 「・・・」
唯 「思えたんだ」
竜馬 「ヘアピン・・・」
唯 「えへ・・・」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:57:22.07 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
ゲッターは飛ぶ!
地上の平和と人々の安らぎと、そして唯の決意を双肩に担って、敵の待つ戦の庭へと!
ゲッターは行く!
敵を打ち倒し、人々の見上げる空に、明日の太陽を照り輝かせるため!
ゲッターは戦う!
大切な人の笑顔を永久に守るために!
ああ、ゲッター!無敵のマシン、ゲッターロボ!!
僕らの未来を守ってくれ!
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:58:44.72 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
竜馬 「ゲッターは少し離れた所に降りたな」
メカザウルス 「ぐあああああああっ!!」
ずしんずしん!
竜馬 「案の定、メカザウルスはゲッターに狙いを定めたみたいだぜ」
唯 「あ・・・こ、これでとりあえず、学校は助かった・・・のか・・・な?」
竜馬 「安心するのは早いだろが!」
唯 「ひゃっ!」びくっ
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:00:23.36 ID:NMEKfpEK0
竜馬 「急げ!地形や建物が邪魔して、奴はすぐにはゲッターにはたどり着けないはずだ!」
唯 「・・・!」
竜馬 「小回りの利くお前のほうが、先にたどり着ける!早くゲッターに乗れ。そして少しの間だけ耐えてろ!」
竜馬 「すぐに俺たちのゲッターも駆けつける!」
唯 「・・・うんっ、わかったよ!」
たったった
竜馬 「・・・」
竜馬 「・・・ゲッターに魅入られた馬鹿が、また一人・・・か」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:03:12.55 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
新ゲッター!
その姿は、かつてのゲッター1に酷似していた!
二本の角が突き出たような、特徴的な頭部!
真紅にきらめくボディ!
だが両者の趣を異にしているのは、全身のシルエット!
全体的にほっそりと、まるで女性の体つきを思わせるフォルム!
そして両の腕にそれぞれ取り付けられている、盾だろうか?巨大な円盤!
その頼もしき姿こそ、唯に与えられた力!
大切なものを守るための力!
新たなゲッターロボなのだ!!
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:04:45.97 ID:NMEKfpEK0
いま唯は、ゲッターに導かれるままに、そのコクピットに乗り込んでいた。
計器が光る!モニターに灯が点る!操縦桿が、早く手を添えてくれと震えている!!
唯に動かしてくれと、魂に語りかけてくる!!
唯 「これが・・・私のゲッターロボ・・・」
唯 「・・・あ」
唯 「分かる・・・私の中から、何かがゲッターロボに染み渡って行ってる・・・これは・・・」
唯ちゃん・・・
唯 「私だ。私の中のもう一人の私がいま、ゲッターロボの心になったんだ」
唯ちゃん、動かして。
私の新しい体、唯ちゃんに動かして欲しいな。
唯 「うん、分かった。任せてよ!」
唯 「動かせる・・・私、ゲッターの動かし方を知ってる・・・!」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:09:48.81 ID:NMEKfpEK0
ぶぅん
紬 『唯ちゃん』
唯 「あ、画面にムギちゃんが映ってる!」
紬 『ゲッターに乗ってくれたのね。ありがとう、唯ちゃん』
唯 「えへへ、そんな礼には及ばないよ~。ていうか、ムギちゃんもゲッターロボに乗ってるの?」
紬 『ううん、私は琴吹重工の通信室から、ゲッターに回線を繋いでお話してるの』
唯 「そっかぁ。ムギちゃんも一緒だったら心強いなって思っちゃったんだけど・・・そう都合よくは行かないかー」
紬 『ごめんなさい・・・』
唯 「あ、こっちこそゴメンね。別に責めてるわけじゃないんだよ」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:12:30.09 ID:NMEKfpEK0
紬 『ええ・・・でも、本当に良いの?私からお願いしておいて、今さらって思うかもしれないけれど・・・』
紬 『きっと危険な目にもたくさん遭うと思う。命の危険にだって・・・それでm
唯 「ムギちゃん」
唯 「私ね、自分で乗るって決めたんだよ。だからムギちゃんは謝らなくっても良いし、お礼だって言わなくても良いんだよ」
紬 『唯ちゃん・・・』
唯 「あ、でもでも。あのメカザウルスを追っ払った後で、ムギちゃんのお菓子が食べたいな~」
紬 『うん、分かった。飛び切りの紅茶も用意して、待ってるわね』
唯 「やったぁ~!」
紬 『じゃあ、唯ちゃん・・・ゲッターに。あなたの乗っているゲッターに名前をつけてあげて』
唯 「え・・・」
紬 『その名前を呼んであげて。その声を唯ちゃんのパーソナルデータとして、ゲッターに登録するわ』
唯 「ぱそ・・・?よく分からないけど、名前だね!うん、それはもう、とっくに決めていたよ」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:16:54.88 ID:NMEKfpEK0
紬 『じゃあ唯ちゃん、お願い』
唯 「うん、この子の名前はね・・・」
(唯 「ね・・・ねぇ。あなたの事、なんて呼べばいいのかな?いつまでもあなたとかじゃ、なんだか他人行儀で呼びにくいし」)
(? 「私はゲッター・・・」)
唯 「ゲッター・・・」
(唯 「ゲッター?」)
(? 「ゲッターの意志と呼ばれる者」)
唯 「ゲッターぁ・・・」
(唯 「ゲッター・・・ゲッターの唯・・・ゲッター唯・・・」)
唯 「ゲッタァアアアアア・・・ユーーーーーイっっ!!!」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:25:10.50 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
律 「おい、ゲッターロボが来てくれたぞ!」
澪 「本当だ!これで助かった・・・けど・・・確かゲッターって壊れちゃったんじゃなかったか?」
律 「そうだよな・・・それに何だか、私の知ってるゲッターとちょっと違うような・・・」
ゲッタァアアアアア・・・ユーーーーーイっっ!!!
律 「うわっ、叫んだ!」
澪 「名乗りを上げたのか・・・?」
律 「ゲッターユイって・・・ん・・・?ユイ?唯・・・?」
澪 「い、今の声、気のせいかなぁ・・・唯の声に聞こえなかったか・・・」
律 「あ、あは・・・あはは・・・まさかなぁ~」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:28:11.11 ID:NMEKfpEK0
澪 「でもさ、唯は学校のほうに走ってっちゃったし・・・も、もしかして・・・」
律 「んなわけあるかよ・・・」
澪 「だって唯、なんだか様子もおかしかったし!守るとか何とか、そんな事も言ってたし!」
律 「嘘だろ・・・」
和 「唯・・・」
律 「なぁ、和さん・・・あんた、なんか知ってるのか?」
和 「・・・」
律 「なぁ、違うよな?私たちの友達が、あんな危険なところになんて、いるはずがないよな・・・?」
和 「・・・」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:31:43.92 ID:NMEKfpEK0
律 「何とか言えよ。和さん・・・おい、和ぁ!」
和 「うるさいっ!」
律 「なっ・・・」
和 「あの子は私の言うことなんか、なにも聞いてはくれないのよ!親友の私の言うことなんか!!」
和 「あの子が決めた以上、私には見てることしかできないの!一度決めたことは、曲げない子なんだから!!」
和 「う・・・うう・・・」ぽろぽろ
律 「和・・・」
澪 「そ、そんな・・・じゃあ、本当にあの中に唯が・・・?」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:35:02.47 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
メカザウルス 「ぐるるる・・・」
ずしんずしん
唯 「き・・・来たっ」ごくっ
紬 『唯ちゃん、メカザウルスはもう目前よ!準備はいい?』
唯 「うん、やれるだけやってみる!」
紬 『無茶はしないで。今はとにかく、流さんたちが救援に来てくれるまでの間、耐えることだけを考えてね』
唯 「うん!」
紬 『武器を用意しておいたわ!そこの赤いボタンを押してちょうだい!』
唯 「え、どこどこ・・・」
メカザウルス 「ぎゃああああああっ!!」
唯 「これかっ!」
ぽちっ
メカザウルス 「があああっ!」ぶんっ!!
がきぃいいいいん!
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:38:34.74 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
澪 「ゲッターの肩から斧みたいな物が飛び出して、それで敵の攻撃を受け止めたぞ!」
律 「ゲッターロボの武器でトマホークってあったじゃないか!前に雑誌で読んだことある!それじゃないか!?」
和 「・・・」じー
澪 「ああ、あれな!ゲッタートマホークか!」
和 「なんか・・・違う気がする」
澪 「え?」
和 「あれって、斧って言うよりも・・・」
律 「ん・・・!?」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:48:03.78 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
唯 「これって・・・」
紬 『うっふっふ』
唯 「巨大なギー太!?」
紬 『そうよ!唯ちゃんにふさわしい武器を特注で作ってもらったの!唯ちゃんのギターに模して作られたトマホーク。名づけて・・・』
紬 『ギー太トマホークっ!!』どどーん!!
唯 「・・・」
紬 『ふんすっ』←得意げ
唯 「・・・」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:55:15.17 ID:NMEKfpEK0
紬 『あ、あれ・・・?お気に召さなかった・・・?ていうか、ちょっと引いてる??』
唯 「ムギちゃん・・・ギー太で敵を叩いたりとか、したくないよぉ」
紬 『え・・・や・・・でも・・・ほ、ほら、あくまで形を似せてるだけで、実際は斧だから・・・ね?』
唯 「で、でもぉ・・・」
紬 『唯ちゃんっ!二撃目くるっ!!』
唯 「っ!」
がっきいいいん!
メカザウルス 「っ!?」ぐらっ
紬 『敵が攻撃を弾かれてよろけたわ!唯ちゃん、逃しちゃダメ!』
唯 「うう、ごめんねギー太・・・えーーーーーーいっ!」
がすっ!!!
メカザウルス 「ぎゃあああああっ!!」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 23:01:05.40 ID:NMEKfpEK0
唯 「当たった!」
紬 『効いてる!たたみかけて、唯ちゃん!』
唯 「う、うん!」
ごめんね、恐竜帝国の人・・・
地上を取り戻したい。大切な場所を取り戻したいって言う気持ち、私には分かるよ。
でも、だからこそ負けられない。
大切な場所を守りたいって気持ちは、私もいっしょだもの!
唯 「ギー太トマホークっ!!」
どがっ!どがっ!どがっ!
メカザウルス 「うぎゃあああああっ!!!」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 23:06:24.98 ID:NMEKfpEK0
・・
・・
ギー太トマホークっ!!
澪 「気のせいかな・・・私にはギー太トマホークって聞こえた気がするんだけど・・・」
律 「大丈夫。私もそう聞こえたから・・・」
和 「ギターで恐竜に殴りかかってるロボットの図か・・・何というか、シュールね・・・」
澪 「でも、敵はタジタジだ。効いてるみたいだぞ」
律 「見た目なんか、どうでも良いや!が、がんばれゲッター!負けんなよ、唯!」
澪 「がんばれ唯!!」
和 「・・・」
和 (唯・・・こうなってしまった以上、不本意だけど私も応援するわ)
和 (そして勝って、怪我なんかしないで、笑顔で戻ってきてね・・・唯っ)
和 「がんばって、唯ーーっ!」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 23:11:27.86 ID:NMEKfpEK0
次回へ続く!
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:13:22.47 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
がすっ!がすっ!がすっ!
唯 「あれ、これってこのままいけちゃうんじゃない?」
唯 「私って、かなり強いのかも!」ふんすっ
紬 『唯ちゃん、気を抜いちゃダメ!』
唯 「え・・・」
ずでーん!
唯 「きゃぁっ!いってて・・・なに、なにが起こったの!?」
紬 『敵が尻尾を足にからめてきて、転倒させられたの!早く起き上がって!!』
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:16:20.06 ID:Nd36LrMn0
唯 「え、え、そんなこと言われても」
ずしっ・・・
唯 「あ・・・あ・・・メカザウルスに馬乗りにされちゃったよ・・・」
唯 「く、ギー太・・・!て、無い!?あ・・・あれれ・・・???」
紬 『転んだ衝撃で手から離してしまったんだわ・・・』
唯 「あんな遠くまで飛ばされちゃってる!これじゃ届かないよ・・・」
メカザウルス 「ざまあああああああっ!」
ばきっ!
唯 「うわぁ!」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:19:39.55 ID:Nd36LrMn0
ばきっ!ばきっ!
唯 「ひっ!身動きとれないのに、これじゃタコ殴りだよぉ!!」
紬 『大丈夫!ゲッターユイの武器はギー太だけじゃないわ!』
唯 「えっ!」
紬 『さぁ、今度はこっちの青いボタンよ!』
唯 「よ、よーし、いったれー!」ぽちっ
唯がボタンを押したとたん!
ゲッターユイの両腕に装着されていた盾のような円盤が、するすると移動を開始する!
やがて、それは両掌の上で動きを止め、固定された!
その図はさながら、シンバルを持った奏者の如し!
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:23:53.05 ID:Nd36LrMn0
唯 「え・・・こ、これは・・・」
紬 『さぁ、かけ声と共に、それで敵の頭を挟み込んでちょうだい!これこそが、ゲッターユイの第二の武器!』
唯 「うん・たんっ!」
ばしいいいんっ!!
メカザウルス 「ぎゃああああああっ!?」
紬 『”ゲッターうん・たん”よっ!!』
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:28:03.56 ID:Nd36LrMn0
唯 「ムギちゃん・・・」
紬 『どうしたの唯ちゃん?戦いはまだ終ってないわ!さぁ、敵がひるんでいる内にたたみかけるのよ!』
唯 「うう・・・えーいっ!うん・たん!うん・たん!うん・たん!うん・たん!」
ばっしん!ばっしん!ばっしん!ばっしん!
紬 『ゲッターうん・たん!両腕に装着した巨大カスタネットによって敵の頭部を粉砕するという、とぼけたネーミングからは想像もできない恐ろしい技よ・・・!』
唯 「うん・たん!うん・たん!うん・たん!うん・たん!うわーん」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:30:59.23 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
えーいっ!うん・たん!うん・たん!うん・たん!うん・たん!
ばっしん!ばっしん!ばっしん!ばっしん!
律 「・・・」
澪 「・・・」
和 「・・・」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:40:39.61 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
ばっきゃあっ!!
メカザウルス 「ぎゃああああああっ!!!」
ずしーんっ!!
唯 「はぁはぁはぁ・・・」
唯 「・・・」
紬 『ゆ、唯ちゃん・・・』
唯 「ムギちゃん。メカザウルスが倒れて・・・動きを止めたよ・・・」
紬 『・・・』
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:41:23.19 ID:Nd36LrMn0
唯 「私、やったの?」
紬 『油断しないで・・・唯ちゃん、ツンツンしてみて』
唯 「う、うん・・・拾ってきたギー太の先っぽで・・・ツンツン・・・」
つんつん。つんつんつんつん。
しーん・・・
唯 「動かない・・・か、勝った・・・?」
紬 『唯ちゃん!』
唯 「ムギちゃん!」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:44:28.59 ID:Nd36LrMn0
紬 『やったわね!すごい、唯ちゃん!まさかやっつけちゃうなんて、本当にすごいわ!』
唯 「えへへ、それほどでもー。だけどこれ、この後どうしたら良いのかな・・・」
紬 『メカザウルスの残骸は専門の部署が回収してくれるわ。唯ちゃんはこのまま誘導に従って、琴吹重工のドッグまで帰還して』
紬 『美味しいお紅茶と、とびきりのお菓子を用意して、待ってるから』
唯 「やったー♪お菓子お菓子っ」
唯ちゃん、まだだよっ!
唯 「・・・え?」
ががががっ!!!
唯 「きゃぁっ!?」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:48:36.11 ID:Nd36LrMn0
ずしーん!
紬 『唯ちゃん、だいじょうぶ!?』
唯 「な、なに、なにが起こったの?」
紬 『攻撃を受けて、転倒させられたの!』
唯 「え・・・攻撃って、だって・・・」
メカザウルス 「・・・」ぬぼー・・・
唯 「うそ・・・頭、潰されちゃってるのに、立ち上がってる・・・」
紬 『唯ちゃん、立って!はやく!』
唯 「なんなの、これ・・・やだ・・・」
紬 「唯ちゃん・・・?」
唯 「こ、怖い・・・怖いよ・・・っ!」
紬 『唯ちゃん!』
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:52:00.72 ID:Nd36LrMn0
唯は眼前の壮絶なメカザウルスの姿に、なす術を忘れた。
前日からの、あまりの現実離れした出来事の連続に、半ば麻痺しかけていた感情が今。
頭部を失ってなお戦いを止めようとしない敵の姿を呼び水として、強引に現実に引き戻されたのだ。
恐怖という、負の感情を伴って・・・!
紬 『唯ちゃんっ!』
唯 「あ・・・あ・・・」
紬 『唯ちゃん、避けてーっ!!』
唯 「いやああっ!」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:54:52.50 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
律 「お、おい、ゲッターロボ、転ばされちゃったぞ!」
澪 「はやく起き上がらないと、唯っ!!」
律 「うわぁ、あぶねぇ!!やられちゃうぞ!!」
和 「・・・に・・・ってん・・・よ」
律 「え・・・?」
和 「何やってるのよ、ばかー!」
澪 「うわ、の、和さん!?」
和 「あんた、大丈夫だって言ったじゃない!みんなを守るって、大見得きったじゃないのよ!」
和 「倒されてんじゃないわよ!私に心配かけさせないで!立って!立ちなさいよ!」
律 「和・・・」
和 「唯!唯っ!唯ーーーーっ!!」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:59:27.46 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
(和 「唯ーーーーーっ!!」)
唯 「和ちゃん・・・?」
紬 『唯ちゃんっ!』
唯 「・・・はっ!」
メカザウルスの腕が振り下ろされようとした刹那!!
ガキィンっ!!
まさに危機一髪!!
唯は巨大カスタネットを盾代わりに、攻撃を受け止める事に成功したのだった!
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:06:06.58 ID:Nd36LrMn0
紬 『唯ちゃん!よ、良かった・・・』
唯 「和ちゃんの声が・・・」
紬 『え・・・?』
唯 「和ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえたの。それで私、我に返ることができて・・・」
紬 『そう・・・』
しかしゲッターユイが、依然危機的状況に置かれている事に変わりはなかった。
いかに攻撃を受け止めたとはいえ、こちらは未だ倒されたままの不利な体勢。
一方の敵は、受け止められた腕に全体重をかけて、ゲッターユイを押し潰しにかかっている!
危うし、ゲッターユイ!
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:10:02.02 ID:Nd36LrMn0
唯 「くっ、負けらんないよね・・・」
紬 『唯ちゃん・・・』
唯 「負けらんないでしょ・・・怖がってる余裕なんて、無いんだもん」
唯 「守るって決めたんだ。大切な場所を。和ちゃんと一緒に入学した、軽音部のみんなと出会えた学校を・・・」
唯 「大切な思い出の場所を、守るためにゲッターロボに乗るって・・・」
唯 「そう決めたんだから!」
竜馬 「お前の決心、たしかに聞いた!」
唯 「え・・・?」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:11:18.16 ID:Nd36LrMn0
唯ちゃん、もう大丈夫だよ。
ほら、空を見上げて。
さあ・・・!
唯 「・・・あ」
竜馬 「ダブルトマホークブーメラン!!!」
唯 「・・・ああ!」
かけ声と共に飛来したトマホークは、一点の狂いなくメカザウルスに命中すると、その肉を削ぎ、勢いを殺さぬままにやってきた方向へと戻っていった。
唯 「!!」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:17:34.04 ID:Nd36LrMn0
唯は見た!トマホークの帰ってゆく先を。
もし、希望という言葉に形があるのならば、それはいま唯が目にしている光景の事を言うのだろう。
そう。
唯の視線の先。
中空に屹然と佇立し、照り返す陽光を全身に浴びながら、トマホークを構える勇姿にこそ、その言葉はふさわしい!
それは・・・
それは何だ!?
唯 「ゲッターロボ・・・?」
唯は呼ぶ。
その者の名を!
唯 「ゲッターロボっ!!」
竜馬 「そうだ!これこそが俺たちの新たな相棒、ゲッターロボG・・・」
そう、それこそは!!
竜馬 「その空中戦形態、ゲッタードラゴンだっ!!」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:32:53.98 ID:Nd36LrMn0
唯 「やっぱりリョウさんだ!リョウさん、私・・・」
竜馬 「なかなかやるな、ヘアピン!その化け物をはじめて相手にした割にゃあ、なかなかの戦いぶりだったぜ」
竜馬 「お前の守りたい物、立派に守り通したじゃないか」
唯 「で、でも、私・・・やっぱり怖くなっちゃって・・・それで倒されちゃって・・・」
竜馬 「そいつがどうした!戦いってなぁ、最後の最後に立っていた方の勝ちになるんだ!」
唯 「・・・うん!」
竜馬 「それとな、そいつらは普通のやり方じゃダメだ」
唯 「え・・・」
竜馬 「奴らはしぶとい爬虫類でな。一部分をやっつけても、他の細胞は生きている」
竜馬 「そして、すぐ再生して元通りになる。頭を潰したくらいじゃ、なんともならねぇのさ」
唯 「え、じゃ、じゃあ、どうしたら良いの・・・?」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:35:08.03 ID:Nd36LrMn0
竜馬 「くさい奴は元から絶たなきゃダメ!どいてろ!!」
唯 「う、うん・・・!」すたこら
竜馬 「くらいな、トカゲ野郎。貴様らに殺された武蔵の恨み、熨斗をつけて叩き返してやる」
竜馬 「思い起こさせてやるぜぇ、ゲッターの恐ろしさを嫌って程にな!!」
竜馬 「うおおおおおっ、受けてみろ!ゲッタービーーーーームっっ!!」
竜馬の気合一閃、ゲッタードラゴンの口に当たる部分からほとばしる、高熱4万度の光線!
敵対するもの全てを焼き尽くし、溶かし尽くすこの光線が今、竜馬の怒りの叫びと共に放たれた!
鋭い矢のように空を切り裂きながら、ゲッタービームはメカザウルスへと一直線に突き進む!
そして・・・
メカザウルス 「ーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
メカザウルス 「ーーーー・・・」
メカザウルス 「・・・」
頭部を失い、すでに断末魔の叫びをあげる口すら持たぬメカザウルスは、静かにゆっくりと。
焼かれ溶かされ、やがて一塊の消し炭と成り果てて、地に崩れ落ちた。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:45:39.36 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
腰をぬかした格好で地べたに尻を着いているゲッターユイの隣に、ゲッタードラゴンが降り立つ。
竜馬 「お疲れさんだな、ヘアピン」
唯 「リョウさん・・・私・・・」
竜馬 「どうだった?戦いは」
唯 「こ、怖かった・・・」
竜馬 「正常な反応だな。どうだ?ゲッターに乗ったこと、後悔しているか?」
唯 「う、うん・・・正直すこし」
竜馬 「そうか。だが、俺は言ったよな。一度乗ったら後戻りはできないと」
唯 「うう・・・」
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:47:38.15 ID:Nd36LrMn0
竜馬 「まぁ、そう悲観する事もない。お前は俺たちがみっちり鍛えてやる。ゲッター乗りとして、恥ずかしくない程度になれるようにな」
竜馬 「まともに戦えるようになれれば、恐怖感も減る。そういうもんだ」
唯 「ええー?あはは・・・お手柔らかに・・・」
竜馬 「遠慮するなって、ヘアピン!なにせお前は、今日から俺たちゲッターチームの一員なんだからな」
隼人 「そういうことだ。よろしくな、平沢唯」
弁慶 「新入り同士、仲良くしような」
唯 「うあ・・・あはは・・・これから私、どうなっちゃうのかな~・・・」
紬 『みなさ~ん』
竜馬 「お?」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:50:21.56 ID:Nd36LrMn0
紬 『お疲れ様でした。このまま琴吹重工のドッグに帰還してください。戦闘後のメンテナンスを行います』
唯 「あ、ムギちゃん!ねぇねぇ、例の物は~」
紬 『うふふ、分かってるわよ唯ちゃん。パイロットの皆さんにもお紅茶とお菓子で、心身のメンテナンスをしていただきます』
唯 「やったー!お菓子♪お菓子♪」
竜馬 「とたんに元気になりやがった。現金な奴だぜ」
隼人 「まぁ、そのくらい楽天的なほうが、パイロットには向いてるだろうさ」
竜馬 「違いねぇ。さぁヘアピン、立ち上がれ。勝者らしく、堂々とな」
唯 「うん!」
差し出されたゲッタードラゴンの手をとり、立ち上がるゲッターユイ。
その光景は、あたかも桜ヶ丘高校を遠景に、二体のゲッターが握手を交わしているかのようだ!
そう、今まさにこの時が、ゲッター虎狼計画結実の時!
二体のゲッターが名実共に手を握り、人類を狙う魔手を払う大いなる力となった、これはその記念碑的瞬間なのだ!
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:52:30.93 ID:Nd36LrMn0
ひとまずの戦いは終った。
しかし、力を盛り返した恐竜帝国は、すぐに第二第三の魔手を伸ばしてくる事だろう。
だが、虎狼あい揃ったゲッターには、もはや恐れる物などありはしない。
みんなの希望を明日に繋ぐため、降りかかる火の粉を払い除けるのだ!
行けゲッターユイ!
戦えゲッターロボG!
人類に明日の夜明けを照り輝かせられるのは、君たちしかいないのだから!!
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:55:57.37 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
律 「どうやら、終ったようだな・・・」
澪 「が、学校は助かったんだな・・・一時はどうなる事かと」
律 「何はともあれ、もう近づいても平気だろう。行こうぜ、唯に事の次第を納得のいくように説明してもらわないと」
澪 「そうだな。なんであいつがロボットなんかに・・・ていうか、和さんは唯がゲッターに乗ってたこと、知ってたんだよな?」
澪 「・・・あれ?和さんがいない・・・?」
律 「え、だってさっきまで、ここで一緒に・・・どこ行ったんだ?」
澪 「さ、さぁ・・・」
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:59:16.07 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
和 「・・・」
とぼとぼ
和 「唯・・・唯・・・嫌だよ、私、やだよぉ・・・う・・・ひっぐ・・・」
和 「これからずっと、ゲッターロボに乗り続けるの・・・?そして、危ない目に遭い続けるの?唯・・・唯ぃ」
和 「た、耐えられない・・・!胸を掻き毟られるような感覚、あとどれくらい味わえば良いって言うのよ・・・!」
? 「お前さんを苦しませるようなゲッターなら、壊してしまえば良い」
和 「え・・・!?だ、誰!?」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 20:01:10.20 ID:Nd36LrMn0
? 「ゲッターが無くなれば、もう二度と。お前さんの大切な人が危険に晒されることも無いだろう」
和 「あ、あなたは・・・?」
? 「ワシの事なぞ、どうでも良い。さぁ、ワシの目を見るんだ。お前さんの望みを叶えてやろう」
和 「・・・あ」
? 「ふふ、お前さんが自分の気持ちに素直になれば、大願成就はほれ、すぐ目の前じゃ・・・」
和 「あ・・・あ・・・」
? 「ふふ・・・ふはははは・・・」
和 「・・・ゆ、唯・・・私は唯のために・・・唯のために・・・」
和 「ゲッターロボの敵になる・・・!」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 20:02:28.15 ID:Nd36LrMn0
・・
・・
次回予告!
ゲッターユイでの戦闘にも慣れてきた頃。
唯は軽音部のみんなと海へ合宿に来ていた。
過酷な戦いを一時忘れ、年頃の少女らしい楽しみに心を弾ませる唯。
しかしその裏では、恐ろしい計画が進行していた!!
やがて唯の前に現れた、もう一体のゲッターロボ!
その正体とは!?そして、目的とするところは一体なんなのか!!
次回 唯「ゲッターロボ!」第二話にご期待下さい!
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